▽ 俺が特別、ってこと? ページ21
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午後20時45分。俺は今、猛烈に悩んでいる。
握り締めた端末の液晶に浮かぶのは、「ごめん、まだ仕事残ってる...」と律儀に動物が可愛らしく謝っているスタンプ付きのメッセージ。
これで全滅。俺はやっぱりあの男に頼るしかないのか。
元々、今日と明日の二日間、大輔くんは泊まりの仕事で家を空けることは知っていた。
このとんでもなく過保護な同居人は、俺を家にひとりで居させることを嫌って、自分が泊まりの仕事がある時は必ず俺を他の人の家に預ける。
てな訳で今日も例のごとく、の、はずだった。
悲劇の始まりは、今日泊まらせてもらう予定だった洋貴さんに急な仕事が入ったこと。
まあ仕方がないと、また泊まらせてくださいね、なんて言いながら次に連絡を入れた良平さんも、日付を跨ぐ時間まで仕事が入っている、と。
この時点でかなり嫌な予感はしていた。二度あることは三度ある、なんて幾らでも経験してきたことだ。
界人くん。ごめん、俺も今日遠方ロケで。
拓也さん。ごめん、生放送入ってて。
夏樹さん。ごめん、今だいぶ押しててまだまだ帰れそうにない。
賢章さん。ごめん、俺も香菜ちゃんも今日遅いんだ。
そして冒頭に戻り、今日計七回目となる俊樹さんのごめんを確認して俺は頭を抱えることとなった。
はあ、と深く溜め息をつきながらとんでもなくゆっくりとした動作で液晶をタップする。
頭を抱えながら物凄く嫌そうにスマホを操作する俺を傍から見たら、それはそれは滑稽なんだろう。
もう何度も打ってきた定型文をわざわざメッセージで送ることすら面倒くさい。
忌々しい三文字の見慣れた名前が浮かぶ液晶を睨みつけながら、通話、の文字をタップすれば。
「.........今日、家、泊めてください」
「ねえ、すごい嫌そうに言うじゃん笑」
けらけらと可笑しそうに笑う声の持ち主が電話越しに満足そうな表情を浮かべているのがありありとわかる。
はあ、もう一度、大きな溜め息。
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ナシラ(プロフ) - もう更新されないんですか?めちゃめちゃ好きな作品なので更新してくれると嬉しいです! (9月30日 15時) (レス) id: 16950d514c (このIDを非表示/違反報告)
ナシラ(プロフ) - 更新楽しみに待ってます! (9月30日 15時) (レス) id: 16950d514c (このIDを非表示/違反報告)
みゆ(プロフ) - リクエスト難しかったのに書いてくれてありがとうございます!とっても良かったです!!さんたくゲストは気長に待ちますのでゆっくりで良いですよ! (2023年4月2日 1時) (レス) @page38 id: f4342f2c6a (このIDを非表示/違反報告)
穂香(プロフ) - リクエストお応えしていただきありがとうございます!!!最高でした!これからも楽しみにしていますね🙌🏻 (2023年4月1日 22時) (レス) @page41 id: 321f55f0ce (このIDを非表示/違反報告)
穂香(プロフ) - いつも楽しく拝見させていただいています!例にも書いてある、現場で学校の課題をする堀川くんの様子をツイートするやつ見てみたいです!ご自身のペースで全然大丈夫ですので、これからも頑張ってください!応援しています📣💜 (2023年3月19日 20時) (レス) @page37 id: 321f55f0ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ほし | 作成日時:2023年2月22日 22時