無一郎の大切な幼馴染み

〃 ページ29

炭冶郎「A、出血が酷い！俺を庇ったから…！！」



貴女『炭冶郎くんのせいじゃないよ。それより、煉獄さんは……？｣



炭冶郎「出血が酷い、意識がなくて……」





私は炭冶郎くんの頭を撫でる

炭冶郎くんには、悲しい顔は似合わない





貴女『大丈夫、だよ、炭冶郎くん。煉獄さんは……心配、いらない』





私は炭冶郎くんから手を離すと、刀を握り直し、刃を煉獄さんに向ける



血の流れを意識して……





貴女『雪の呼吸・陸ノ型【綿雪】』





煉獄さんの出血が治まっていく



陸ノ型は主に止血の為の型


刃で血管を押すことで、血管の中を流れる血液の流れを止めて傷口を塞ぐ

ただし失った血までは戻らないし、無理をすると後遺症が残ることもある


使い方によっては毒を出したり、血の巡りを良くする効果もあるのだが、この型は内臓を傷つけず慎重に且つ速く動く必要がある

体力と集中力が必要とされる為、何度も使えない

失敗すれば命にも関わる





炭冶郎「A、一体これは……」





炭治郎くんに答えようとしたけれど、身体が言うことを聞かず、視界が反転する





炭冶郎「A！！？」





炭冶郎くんが私の体を抱えてくれて、倒れたのだと理解した



身体中が痛い

正直、立っているだけでも限界だ


呼吸で止血しているが、戦闘での負傷
それと陸ノ型の影響で身体に力が入らない





炭冶郎「Aｯ！Aｯ！！」





炭冶郎くんが私の名前を何度も呼んでいるのが聞こえる


私はいいから早く煉獄さんを……

そう言いたいのに口が開かない



段々と意識が朦朧としてきて、炭冶郎くんの声が遠退いていく







《無一郎｢また無理したでしょ？俺、何回も言ってるんだけど｣》







………こんな時でも思い浮かんだのは、むいくんだった





むいくんが知ったら心配するよね


でも、きっと褒めてくれる

皆、無事なんだよって

私のこと、心配しなくてもいいだよって



でも、怒られるかもなぁ

嫌だなぁ


そうだ、ふろふき大根でも作ろ

その後は紙飛行機作って遊んで……





それで……





それで……







あ〜ぁ、むいくんに会いたいなぁ







無一郎｢Aｯ！！！｣





幻聴まで聞こえてくるとか、相当ヤバいかも……


せめて、もう一度手を握って欲しかった



叶いそうにない望みを抱きながら、私は意識を失った

大切→←〃

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あずきいろ

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