番外編「優鬼」4 ページ13
鋭いナイフが喉を切ったように呼吸が苦しくなりヒュッと音が鳴る。
身体全体が釘にでも打ち付けられたのか、全く言う事を聞かずその場に立ち尽くしてしまう。
私の隣に居た幸運児くんも、不思議そうに首を傾げ私の表情を窺っている。
「おや、私との再開がそんなに嬉しいのですか？」
『何、言って…！』
あの時の痛みが記憶を伝って一気に押し上げてき、忽ち胸がギリギリと茨で締め付けられた様に痛む。
「…幸運児くん、申し訳ないんだけど、席を外して貰ってもいいかな？」
息を吸い込み、まともに呼吸を出来ていないのに何を強がっているんだ。と思われてしまうかもしれない。現に今、身体は小刻みに震えている。
でも今はこいつに警戒を怠ってはいけない。流れ弾で幸運児くんにまで被害がいってしまっては大変だ。
私は目で必死に訴え、服の裾を掴んで身体を強張らせ震えを止める。心配させないように笑みを浮かべようとすると、機械のようにぎこちなくなってしまう。
すると幸運児くんは察してくれたのか、不満そうな顔をしながらも小屋を出て、皆がいる浜辺の方へと向かっていく。
「懸命な判断ですね。それとも私の二人きりがご希望で？」
『…はっ、御冗談を。』
自分に酔っているのか、私を釣り上げる為に吐いたであろうその言葉にあまりの滑稽さから思わず口角が上がる。
「素直じゃないですねぇ。でもその威勢も今は無駄ですよ。此処ならもう邪魔は入りません。自分の状況、賢い貴方なら分かりますよね？」
『何を偉そうに…！例え無駄な抵抗でもしないで好き勝手されるよりはマシっ…！』
一秒でも早くこの場から去りたい気持ちでいっぱいの私は微かに震える手で解読を進める。リッパーは未だ窓枠に腰を降ろし、左手の巨大な鉤爪の手入れをしていた。
「ヘアァ…今日は随分と強気に出ますねぇ…」
一々彼の言葉に耳を傾けていては直ぐに疲れてしまうので無視をし、カタカタと暗号を打ち込んでいく。
すると、窓枠の支えが軋む音と同時に徐々に近付いてくる足音。
そして、瞬く間に首を伝うひんやりとした鋭い何か…
「そういえば、このネックレスは傭兵くんからの貰い物…と仰っていましたよね？」
油断していた。のか、私の首から垂れたその例の銀はいつの間にかリッパーの鉤爪に掛かっていた。
それは今にも砕けてしまいそうな程にキリキリと不快な音を立てる。
『…か、返してっ！』
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おかさん(プロフ) - 今更ですが…更新…待ってます……… (2022年11月9日 20時) (
レス) @page22 id: 48fcbe9d4c (このIDを非表示/違反報告)
カシューナッツ炒め(プロフ) - うぉううぉう…めっちゃ面白いですね！！続き楽しみにしてます！！ (2021年8月24日 20時) (レス) id: ea7d5bd598 (このIDを非表示/違反報告)
RIRIKO(プロフ) - めっちゃドキドキしちゃいました!!課題って大変ですよね……無理せずに頑張ってください！！応援してます〜 (2021年4月6日 4時) (レス) id: 9b17341c39 (このIDを非表示/違反報告)
砂糖 - 続きがすごく気になります…………！ (2021年4月2日 1時) (レス) id: 31e6f8227b (このIDを非表示/違反報告)
翡翠いろ(プロフ) - あかり510さん» わー！！ありがとうございます！！！告白の嵐……！嬉しいです！！（）更新全然出来てなくて申し訳ないです……！頑張りますー！！ (2021年1月18日 19時) (レス) id: c3dcbab85a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：翡翠いろ | 作成日時：2020年5月5日 2時
