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自分でも驚くほど呆けた声が漏れる。声のした方は先程目を背けた窓からで、もう一度そちらに目を向ける。
「初めまして囚われのお姫様…じゃないか。囚われの王子様、今宵貴方を盗みに参りました」
そこには窓からこちらを見つめる怪盗。一体どうやってここまで？てか囚われ王子様って誰のことだ？もしかして俺のこと言ってる？
ショッピは色々と思考が追いつかず困惑する。
「え、っと……アンタが予告したのはあの宝石なんじゃないんすか？」
やっと出せた言葉はそれだった。
「いつ私が宝石なんて言いました？まぁ貰ったけど」
「貰っとるやん」
思わずツッコミを入れると、怪盗は何が面白かったのか笑い出す。
やかまし、てかなんか声高いな？
「そんなことはいいんだ。さぁ、私の手を取って？」
差し出される白い手袋をつけた俺より小さい手のひら。
こんな怪しいやつに誰が行くんだ、なんて普段の思考はどこに消えいつの間にか手を握っていた。
「ふふ、ありがとう！では行こうか」
「へ、ど、どこにっすか」
「どこにって……私の家だよ。そして新しい君の家でもある」
自分よりも小さいはずの手のひらに引っ張られ、軽く抱きかかえられる。びっくりして体にしがみつけば、なんだか華奢な体。
「アンタ、もしかしておん」
「口閉じて。舌噛むよ！」
「ちょっ、まっ！！」
ひらりとそのまま俺を抱えたまま窓から手を離す。
ここ、かなりの高さがあるんやぞ！？死ぬっ……って、え？
落ちると思って目を強く瞑るも来ない衝撃。恐る恐る目を開けば、なんと怪盗は俺を抱えたまま屋根から屋根へと走り渡っているのだ！
「す、すげぇ……」
「それはありがとう！」
怪盗に抱えられたまま、ふと空を見上げる。あんなに近くに感じた空は遠く、本当に地上へと来たんだと認識させられた。
そして……何度も何度も見てきたあの満月。
嫌というほど見てきたのに、なぜだか今日の月は嫌な気持ちにならなかった。
いや、これはむしろ＿＿
こうしてまんまと盗まれてしまった青年を抱えながら怪盗は嬉しそうに笑う。
怪盗が盗み出したは確かに世界が羨むような紫の宝石だった。
それは青年、ショッピ。
青年の瞳は、怪盗にとってこれまで盗んできたどの宝物よりもとても美しいものだったのだ。
怪盗がいつ青年の瞳を見たのか、そして二人はこれからどうなっていくのか。
それはまだ、誰にも分からない。
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百瀬のえる(プロフ) - 25歳shpおじさんとjkちゃん狂おしいほど好きです先生生徒好きは実はここ発祥ですjkとshpの組合せﾝｧ゛゛゛゛ (2020年10月8日 1時) (
レス) id: 90299a5c54 (このIDを非表示/違反報告)
夜有(プロフ) - えなさん» ありがとうございます！そう褒めてくださるととても嬉しいです…！まだ続編は決めてませんが、そのときはまた見ていってくれると嬉しいです(*´ω`*) (2019年3月8日 10時) (レス) id: 93b15b9a53 (このIDを非表示/違反報告)
えな(プロフ) - はじめまして、コメント失礼します。貴方様の綴る物語が大好きで、短編の中にも夢主ちゃんの想いや情景が繊細に書かれていて読みながらとても心を動かされています。別作品もあってお忙しいとは思いますが、次回作があるのであれば心からお待ちしております…！ (2019年3月8日 3時) (レス) id: 4d21cb4889 (このIDを非表示/違反報告)
夜有(プロフ) - 柚さん» ありがとうございます！カクテルは自分の中でも一番良作だと思っているのでとても嬉しいです。期待に添えるよう、頑張っていきますね！ (2019年3月3日 2時) (レス) id: 93b15b9a53 (このIDを非表示/違反報告)
柚(プロフ) - 素敵です…特にカクテルの話が好きで何回も読み返してしまいます。これからも頑張ってください！！ (2019年3月3日 0時) (レス) id: db3c90213f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夜有 | 作成日時：2019年2月19日 14時
