夜の砂浜 ページ43
男主注意
「俺さぁ、お前のこと好きだったんだよなぁ」
それは、暗い暗い夜の海でのこと。大して仲良くもなかったはずの同性から言われた言葉だった。
そいつは昔から変わったやつだった。いや、昔からと言っても出会ったのは中学からやったけど。その時から周りとは何か違う、何処か達観したようなやつだったと記憶している。
雰囲気はちょっとキツそうな…無気力そうやな、が第一印象。と思ったら話しかけてみると、驚きながらもとても笑顔で言葉を返してくれたギャップの塊のような感じ。
そのくせ話しているときたまに寂しそうな目をしたり、普通知らないような知識持ってたり、俺を見る目がなんだか他の奴らとは違う気がしたり。とにかく変な奴。
特別仲が良かったわけじゃない。だけど悪かったわけでもない。隣の席だったらおはようとかの挨拶はするぐらいの仲。それがなんでかとても悲しくて、でもそれ以上の関係になるのがなぜだかとても怖かった。
中高と一緒で、卒業してからも忘れることはなかった。
「なんで」
そんなことを、今更言うんや。
隣に立つ軽装の男を睨む。本当になんで今更。遅すぎるにもほどがあるのではないだろうか。あまりにも残酷ではないだろうか。
波の音だけが響く。虫の音も、車の音も、声も何も聞こえない。たった二人の世界。
あぁ、そもそもなんで俺はここに来たんだっけか。
「わざと」
ニッ、と男は笑う。とびきり悲しそうな顔をしながら。今にでも零れそうな涙を目元にためているというのに、その水は決して流れようとはしない。いっそ流れてくれたら拭えたというのに。
「馬鹿野郎」
その場にしゃがみこんで顔を手で覆う。いや、しゃがみこんだは違うか。どちらかというとあまりの喪失感に膝をついた状態だ。
そいつはいつも紫色の何かを身に着けていた。一度聞いたら紫が大事な色だからと聞いた。その目が懐かしむような、愛おしそうな目をしていたから腹が立って足を蹴った覚えがある。
「遅いねん」
俺も紫が好き、だなんて言えなかった。その日から俺は無意識に選んでいた紫を手に取らなくなった。その代わりに違う色をずっと選び続けた。
目の前のコイツに、よく似合う色。
「結婚、おめでとう」
明日、俺は結婚する。三年間付き合った彼女とだ。彼女のことはもちろん好きだし、プロポーズしたのは俺からで、これからを楽しみにしてたのは本当で。
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夜有(プロフ) - 百瀬のえるさん» ありがとう御座います！いつかまた会えるときが来ましたら、そのときはよろしくお願いします。 (2021年1月1日 23時) (
レス) id: 93b15b9a53 (このIDを非表示/違反報告)
百瀬のえる(プロフ) - 更新ありがとうございました！大好きです！！お疲れ様でした！ (2021年1月1日 23時) (レス) id: 90299a5c54 (このIDを非表示/違反報告)
黒音 - はい！それではお願いします！ (2019年10月15日 16時) (携帯から) (レス) id: 11da0246b8 (このIDを非表示/違反報告)
夜有(プロフ) - 黒音さん» あ、いえ！その可能性も考えてたのにそこも確認してなかった私もすみませんでした。リクエスト承りました！ (2019年10月15日 16時) (レス) id: 93b15b9a53 (このIDを非表示/違反報告)
黒音 - 返信ありがとうございます!個人的にはハッピーエンドがいいですが作者さんの書きやすい方で良いですよ(それと夢主が死んだ後の事なのですが前世の時の事です。分かりづらくてすみませんでした) (2019年10月15日 16時) (携帯から) (レス) id: 11da0246b8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夜有 | 作成日時：2019年4月7日 22時
