幸せになるのは ページ15
白い挙式、白い花嫁、白い花婿。
周りには二人を祝うために集まった色鮮やかな、それでいて静かな格好をした者たちが一斉に言葉を投げかけていく。
そんな中、私は二人を祝わずに協会の裏側で一人煙草を吸っているであろう男のもとにへと足を向けた。
「やぁ。禁煙だよ、ここ」
「……るっさいわ」
「泣き腫らした目をした男に睨まれても怖くない」
黒のタキシード、紫のネクタイをつけた男……ショッピの横に立ってハンカチを渡す。
涙を受け取ったハンカチで拭きながら私を睨むけど、泣くよりもそっちのほうが彼にあっている。
「先輩、綺麗だったね」
「……ん」
先輩の花嫁姿似合ってたね、なんて言えば睨んでいたショッピのまた表情が曇った。
「先輩、俺らのこと、一番大切な後輩やったって言っとった」
ズルズルと壁を背もたれにしながらしゃがみこんでいくショッピ。
私達と先輩は中学からの仲で、高校も部活も一緒だったからかなり縁が深い。
先輩は本当に私達によくしてくれて、優しくて面白い人だったし尊敬もしてた。
ショッピなんて先輩を追いかける為に同じ高校に進学したぐらい。
__先輩を追いかけるの?
__ん…今度こそ、伝えるために
進学先を知ってそれについて聞いたときにした会話。
こんなかっこいいこと言っておいて、先輩に好きな人がいると知ってからは彼は私と同じように相談役となり、結局今日まで想いを伝えることはなかった。
さて、ここまで言えば感のいい人はわかるかもしれないが、ショッピは先輩に片思いをしていた。
それこそ中学の頃からで、本当はもっといいところ行けたくせに先輩を追いかけるためにちょっと低めの高校を選ぶくらいには。
「そりゃあ花婿より先に私達に花嫁姿を見せるぐらいだもん。それぐらい後輩として可愛がられてた」
「……お前、ほんまそういうとこあるよな」
「なんのことやら」
わざと後輩を強調する私に恨めしそうにしながらまた睨んでくるショッピ。
始めの方はいつもどおりの無表情を貫いていたショッピだが、どんどんと我慢しきれなくなったのか先に化粧室から出ていった彼の後ろ姿はなんとも小さかったことか。
「で、これからどうするの?諦めきれなくて突撃でもすんの?」
「アホいえ、先輩にそんなこと強要させれるわけ無いやろ。お前でもないし」
「どういう意味だソレ」
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夜有(プロフ) - 百瀬のえるさん» ありがとう御座います!いつかまた会えるときが来ましたら、そのときはよろしくお願いします。 (2021年1月1日 23時) (レス) id: 93b15b9a53 (このIDを非表示/違反報告)
百瀬のえる(プロフ) - 更新ありがとうございました!大好きです!!お疲れ様でした! (2021年1月1日 23時) (レス) id: 90299a5c54 (このIDを非表示/違反報告)
黒音 - はい!それではお願いします! (2019年10月15日 16時) (携帯から) (レス) id: 11da0246b8 (このIDを非表示/違反報告)
夜有(プロフ) - 黒音さん» あ、いえ!その可能性も考えてたのにそこも確認してなかった私もすみませんでした。リクエスト承りました! (2019年10月15日 16時) (レス) id: 93b15b9a53 (このIDを非表示/違反報告)
黒音 - 返信ありがとうございます!個人的にはハッピーエンドがいいですが作者さんの書きやすい方で良いですよ(それと夢主が死んだ後の事なのですが前世の時の事です。分かりづらくてすみませんでした) (2019年10月15日 16時) (携帯から) (レス) id: 11da0246b8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夜有 | 作成日時:2019年4月7日 22時