【wrwrd】「 ─────── 」【企画後編】 (ページ22)

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振り返りトントンの方を向けば同じように涙を零していた。

クローゼットに近寄り、触れられないと理解しながらも堪えきれずにそっと手を伸ばす。

そうすればトントンの手も伸びてきた。きっとまた弾かれてしまう、そう思ったのに2人の手はピッタリと重なった。

じんわりとした熱が伝わってくる。これが彼のものであるのか、はたまた違うのかそんなことはもうどうでもよかった。

「A」
「なぁに？」
「愛しとる。」
「私も。」

朝日に溶ける。

重なったはずの手が消えていく。

それでもさよならは言わない。

私と彼との間に時が巡ったようにこれからも季節が、時間が、想いがそして魂が巡り続けていく。

この胸に抱いた感情も、君に捧げた言葉も、君のことを想って綴った文字も、全てが全て巡り巡って再び君と出会うための道標に、そして君に贈る愛となるのだから。

「またね、トントンくん。」
「またな、A。」