＊ ページ9
「A起きてやー！」
元気な声で名前を呼ばれゆっくりと目を開ける。目の前には黄緑色の目が。
『ファッ！？ってゾムさんやんか、どないしたん？』
「もうすぐ朝ごはんの時間やで」
『えっ、わざわざ起こしに来てくれたん？』
いつもなら無視というか部屋になんて絶対入ってこない。これではまるで昔に戻ったようで
「？」
「俺、いつもAのこと起こしに来るやん」
そこで私はやっと気づいたのだ。これが薬の効果なのだと。私にとっての幸せな夢はあの日々ということか。
そう胸にストン落ちたその事実は現実ではなし得なくて。私はぎゅぅっとむねがしめつけられ思わず背中を丸め小さくうずくまった。
「えっ！？どないしたんや！」
『…なんでもないねん、なんでもないから…』
私のその様子を見たゾムさんは慌てて私に問い掛けるが、その様子がやはり懐かしくて長く見れなかった表情で私はさらに泣いてしまう。
「ほんまどないしたん？怖い夢でも見たんか？」
『…うん』
そう、今の今まで醒めることなくずっと見てたんよ
私の頭を大きくてあたたかい手がなでる。そしてその手は膝を抱き込むようにうずくまる私の腕を膝からベリっとはがす。そしてそのまま抱きしめられる。
「ほら、泣くなや」
『…ないてへんわ』
「どう考えても泣いとるやん。バレバレ嘘つくなやw」
んひひと楽しそうに笑うのとは裏腹に彼の手は優しく私の背を叩く。なつかしい。
夢から覚めたくないなぁなんて少し思ってしまった。
『ゾムぅ、大好きやで。私のこと嫌わんといてな』
「なんやいきなり。当たり前やん」
パーカーの下でにっと笑ったゾムをぎゅっと抱きしめて私はまた目を閉じた。
──
ゆっくりと目を開けると真っ白な天井が目に入る。
あぁ、所詮はただの夢。それでもあの日々に戻れたようで幸せだった。
私は今度はたった1人の医務室て膝を抱えうずくまった。
私を抱きしめてくれた熱はどこにもないただの夢。どうしようもないくらい悲しくなった。
あぁ、吐き気がする。
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もふもふ - 初コメします。今泣きながら読んでます。神作品を産んでくれてありがとうございます。 (2022年11月24日 18時) (
レス) @page12 id: a41408c385 (このIDを非表示/違反報告)
うさ - 水月華さん» すみません。そうだったんですね…。勝手なことをしてすみません。ですが私の端末ではコメを消せないので作者様が消してもらえるといいです。 (2019年11月6日 22時) (レス) id: 95908891b8 (このIDを非表示/違反報告)
水月華(プロフ) - 当作品の中にパスワードについて記載しておりますのでそちらをご確認ください。申し訳ないのですが読みたいと思っている方だけに読んで頂きたいと思っておりますのでそうでない人の目にもとまりやすいコメント欄でパスワードを書くのはやめてください。 (2019年11月6日 8時) (レス) id: fac1d7eb45 (このIDを非表示/違反報告)
うさ - パスワードは1029です。本人様ではなくすみません。ストーリーの中で見つけられず、コメ欄に来た方々にこのコメを見ていただけるとありがたいです。 (2019年11月4日 15時) (レス) id: 95908891b8 (このIDを非表示/違反報告)
案山子 - 凄く面白い作品でした！是非続編が見たいので、パスワードを教えてもらってよろしいでしょうか？ (2019年11月4日 1時) (レス) id: 51ee2da9ff (このIDを非表示/違反報告)
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