おわりのはじまり ページ28
あの日からずっと私は薬を飲み続けて気を失うように眠る日々を送っている。
自分が望んだはずなのに1人で過ごす部屋は随分と静かで心にぽっかりと穴が空いたような気持ちにさせた。
名前を呼ばれることがなくなって誰かと話すことも無くなって虚しい、寂しいそんな感情に押しつぶされそうになる度に私は薬を飲んで眠った。たとえ幻だとしても幸せな夢に縋らなければ自分を保つことすらできなくなっていた。
『………情けないなぁ』
動く気も起きずベットに寝転がったまま呟く。その声に反応する者は誰もいない。その事を頭では確かに理解しているのに随分と賑やかで楽しいところにいたせいか心と体は受け入れてはくれなかった。
空になった薬の瓶はひとつ、またひとつと増えていく。私の居場所をエーミールさん以外で唯一知っている先生は心配して「絶対に飲みすぎないで」と注意しつつも薬をくれる。
本当は渡したくないのだろうがそうでなければ私が眠れないことを知っているから彼はいつも私にそれをくれた。
今日も薬に手を伸ばす。締め切ったカーテンは光を遮断し時計のないこの部屋では今がどのくらいの時刻なのかもわからなかった。
薬をのみほす。
ゆっくりと眠りの淵に堕ちて今日もまた幸せな夢を見る。
──────
目を開く。あたりを見渡せば知らない部屋。ここはまだ夢なのだろうか。ぼんやりとした頭で考え体を起こす。
ジャラリ
金属が擦れるような音がする。あぁ、何だか手が重たいような。
『……え?………』
そちらを見遣れば手首には仰々しい手枷が。同様に足にもついている。訳がわからず頭が真っ白になる。
『!!?』
首に付けられている枷に繋がれた鎖が勢いよく引かれた。目の前には見知らぬ男。まるで愛おしいものを触るように私の頬を撫でる。
「あぁ、やっと君を手に入れた」
「会いたかったよ僕の
【to be continued……?】
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もふもふ - 初コメします。今泣きながら読んでます。神作品を産んでくれてありがとうございます。 (2022年11月24日 18時) (レス) @page12 id: a41408c385 (このIDを非表示/違反報告)
うさ - 水月華さん» すみません。そうだったんですね…。勝手なことをしてすみません。ですが私の端末ではコメを消せないので作者様が消してもらえるといいです。 (2019年11月6日 22時) (レス) id: 95908891b8 (このIDを非表示/違反報告)
水月華(プロフ) - 当作品の中にパスワードについて記載しておりますのでそちらをご確認ください。申し訳ないのですが読みたいと思っている方だけに読んで頂きたいと思っておりますのでそうでない人の目にもとまりやすいコメント欄でパスワードを書くのはやめてください。 (2019年11月6日 8時) (レス) id: fac1d7eb45 (このIDを非表示/違反報告)
うさ - パスワードは1029です。本人様ではなくすみません。ストーリーの中で見つけられず、コメ欄に来た方々にこのコメを見ていただけるとありがたいです。 (2019年11月4日 15時) (レス) id: 95908891b8 (このIDを非表示/違反報告)
案山子 - 凄く面白い作品でした!是非続編が見たいので、パスワードを教えてもらってよろしいでしょうか? (2019年11月4日 1時) (レス) id: 51ee2da9ff (このIDを非表示/違反報告)
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