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「"闇よ、去れ"」
そう彼女が告げると
目の前に居たトロルは
消えてしまった。
それと同時に彼女は自分の体から
力が抜けていく感覚に襲われ、膝をついた。
「(これがこの力の代償なのね)」
父エルロンドが教えてくれた、
聖女の力の秘密。
それはその者の命を食うもの。
命をもってして闇を祓う。
だから、極力使わないように。
と彼から教えられていた。
「(確かにこれは
使いどころを間違えるとダメね)」
Aはふぅと息を吐き、顔を上げた。
彼女は皆の視線を一心に集めていた。
「A、今のは…」
彼女に一番近いフロドが問う。
「気になるだろうが、
そのことは危険が去ってからじゃ。行くぞ」
ガンダルフの言葉に
皆が一斉に扉に向かう。
トロルを消すほどの力を使った
Aは皆についていくが、
その足取りはどこかおぼつかなかった。
そんな彼女を見かねてレゴラスが
彼女の元へ向かおうとした。
しかし、それはアラゴルンにより
遮られてしまった。
「お、降ろしてください。
アラゴルン。歩けます」
「ふらふらしていた。矢傷は大丈夫か?
それともレゴラスが良かったか?」
アラゴルンの言葉にAはうっと詰まる。
「傷は治りかけてます。
それに…今は少し気まずいですから…
ありがとうございます」
「さすが、癒せる者だな」
そんな二人の姿をレゴラスは
ただ見つめることしかできなかった。
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作者名:奏風 | 作成日時:2022年9月19日 20時