24話 ページ35
「出なよ。」
そう言って離れる裕太。
いつもは胸が高鳴る太輔からの電話も、
今日はなんだか、裕太と離れることがやけに寂しくて。
そんな自分もすごく嫌だった。
「もしもし、」
「A?」
電話越しで聞こえる、
いつもよりちょっと低く聞こえる太輔の声。
あんなに話したくなかったはずなのに、やっぱり声を聞いたら、今すぐ会いたくなってしまう。
「今、家?」
そう聞く太輔にとっさに
「うん、家帰ってきたとこだよ。」
なんて、裕太の前でついてしまう嘘。
「どうした、何かあった?」
「A、今日いたんだな。」
いるなら、一言くらい連絡してよ。笑
なんて、初めて聞く甘い声。
「たまたま、侑里に誘われてね。
太輔は天下のアイドル様だね!笑」
そう言うと
「Aに言われると、1番嬉しいな。笑」
って、
電話越しでも照れてる姿が浮かぶ。
太輔とこんな話を2人きりでしたのは、思えば麗奈と付き合ってから、初めてで。
少しの罪悪感と、久しぶりの高揚感に、
自分の気持ちすら、もう分からなくなっていた。
45人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:Tya | 作成日時:2024年3月19日 21時