【悪女主】操り人形からの卒業【青葉城西】

操り人形9 ページ10

｢目腫れちゃったね....｣






｢うん、｣







トイレの鏡には泣き腫らして赤くなった目が写る。泣いたのは一目瞭然。なんとか水で濡らしたハンカチで目を冷やしてみるが、腫れが少し引いた程度でバレバレだ。






昔のトラウマを思い出して泣いただなんて、恥ずかしいし、ムカムカする。






｢Aちゃん、これは諦めるしかないねー｣








｢うう、どうにかならないかなぁ｣







｢どうしようもないねー、どんまい｣






バンバンと慰めるように背中を叩く菜摘(なつみ)ちゃん、ものすごく痛い...







｢体育館まで一緒に行ってあげるから、ね？｣








｢うん、ありがとう｣






女バレに入部した菜摘ちゃんとは隣の体育館で私は手を引かれ、体育館へ向かう。菜摘ちゃんとは体育館が違うため着いたらお別れだ。







今のうちにこの目を指摘された時になんと言おうか考えておこうかな。ホラー動画を見て泣いた、驚いて泣いた、笑い泣きした...どれも私らしくない。







いっそ本当のことでも言ってしまおうか。








いや、それはダメ。私の小さなプライドが許さない。








＿＿＿バレー部のマネージャーは恨まれやすいんだって！！








そう話していた菜摘ちゃんの言葉を思い出す。いつか起こる嫌がらせを今さっきされたと嘘ついてしまおう。









ついでに優香に疑惑が行くように話をでっち上げよう。







落ち込んで気持ちが一瞬で晴れ、ふふふっと気味の悪い声を出してしまった。

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