【あんスタ】ゆっくり、ゆったり、のんびりと【朔間零】 (ページ3)

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1話ページ3

『いやー、ほんとに

てんしょーいん君は天使様みたいだよねぇ』

「ふふ、それは光栄だね」

「……悠前、ここはA組だぞ」

当たり前のように椅子に座り、

ぽやぽやとした雰囲気を纏いながら

英智とAは与太話をしている。

しかしここは敬人の言うとおりA組で、

本来のAの居場所ではない。

眉をひそめる敬人に英智は

「まあまあ」と笑いかける。

「良いじゃないか、特にそういう規則も無いんだし」

『そ～だよケイティ。

それとも、仲間はずれでさみしいの？』

「寂しくないし、妙な渾名をつけるな。

俺が言いたいのはだな…」

敬人の説教開始の伏線が引かれようとしたとき、

突如とてつもなく大きな声が響いた。

「Aさああああああああん!!

ママが帰ったぞおおおおお」

『わー、オカンだー』

教室内にも関わらず笑顔でAに駆け寄る青年。

『じゃあ、てんしょーいん君。

わたしは高い高ーいされるのがいやだから

逃げ、…帰るねぇ。ばいばーい』

「もう帰っちゃうのかい？

残念だなあ、でもまあ、またね」

「あっ、おい廊下は走るなよ！」

すくっと立ち上がったAは

普段のゆるさからは想像出来ないほど俊敏に

教室の出口へ駆けて行くと、

『じゃあねー』と手をひらひら振り

そのまますたたっと走っていった。

「だあかっら、

走るなと言っただろうがぁっ！」

「おやあ、Aさんは帰っちゃったのかぁ？

恥ずかしがり屋さんだなあ！」

「多分違うと思うよ、三毛縞君。

…わあ、敬人追い掛けてっちゃった♪」

その後、蓮巳敬人は

数年ぶりの筋肉痛に襲われたという。