Hmieさん短編集 (ページ10)

今日:2 hit、昨日:14 hit、合計:11,806 hit

ボツページ10

「ほんと山内さん面白くて好きです」

そんなAちゃんの声がどこからか聞こえてくる。俺は思わず立ち上がり、声のする方へと向かった。

「お疲れ様、Aちゃん」

「あ、濱家さん！お疲れ様です！」

にっこりと俺に笑顔を向けてくれる彼女が愛おしい。今すぐぎゅっと抱きしめたい衝動を抑えて

「今日さ、よかったらこのあとご飯いかへん？」

とさりげなく誘う。心の内ではさっき言葉を忘れたくて、彼女の言葉、時間全部を自分のものにしたくて堪らなかった。

「ぇ、え、ほんとですか…！そんな！濱家さんに誘ってもらえるなんて光栄です！」

ぱぁっと表情を明るくし、目をキラキラと輝かせる彼女にまた簡単にやられ、思わず顔を逸らしてしまう。

「そんな喜んでもらえるとは思ってなかったわ笑」

ニヤけそうな顔を笑って誤魔化し、彼女に視線を戻す。それから相方に視線を向ける。

「山内」

「ん？」

「ちょっとAちゃん借りてええか？」

許可取りのつもりなんてない、もちろん連れて行く気しかない。

「おぉ、まぁ別にええけど」

何か察してくれたのかAちゃんに別れを告げ山内は去っていく。

「？濱家さんどうかしましたか？」

首を傾げる彼女の手を取り、楽屋へと急ぐ。ドアを閉め、Aちゃんの方へ向き直す。

「ちょっとだけ俺に時間くれへん？独り占めさせてや」

湧き上がる衝動を言葉にした。

「は、はまいえさん、、それはズルいですよ……」

と顔をほんのり赤く染めこちらをうるうると見つめる可愛い可愛い彼女。そんな彼女のほうがズルいと俺は内心悶えていた。