Hmieさん短編集 (ページ8)

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「ほんまびっくりしたわ～、まさかAさんがおるとは思わへんくて」

「あはは、そうですね…」

隣を歩く濱家さんは楽しそうに話しているが、私はそれどころではなかった。

(やばいやばい！！こんなダサい格好で隣歩いてるとかありえない！！)

改めて自分の今の服装を見て絶望する。何も整えていない髪に、普段はコンタクトだが今はメガネ、決して可愛いとは言えない部屋着に上着。これは私にとって生き地獄だった。

「それにしてもこんな時間に女の子一人って危なない？」

当の彼は気にしていない様子で私を気遣う言葉をくれる。

「そうなんですけどね、ひとり暮らしなので一緒に行く人もいなくて」

あははと笑うけれど自分で言っていてなんだか寂しくなってしまう。

(あぁ、なんで私こんなんなんだろう)

服装のことで気分が落ち込んでいたのに、余計に落ちてしまいぐるぐると考え込んでしまう。そんな私の横で濱家さんは

「え、Aさんって、もしかして彼氏さんとか今おらん感じ？」

と尋ねてくる。

「はい。今はいないですねー」

話題がそっち方向に行くとは思わなくて少し驚いていると

「そうなんや。ふーん…」

と今度は濱家さんが何か考え込んでいるようだった。

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そのままマンションの前でお別れをし、自宅へ戻る。

「はぁ～…」

大きなため息を吐き、先程買ったばかりのおつまみを開ける。

(次もしあったら…そのときのための可愛い部屋着でもないかな～)

そんなことを思いつき、試しにクローゼットを開けた。

(あー、あんな気ぃ抜けた感じのAさん初めて見たけど、ほんま可愛かったなぁ。また会えへんかな)