Hmieさん短編集 (ページ44)

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待ち2 ページ44

落ち着いたら返事して

私待ってるから

虚しくも自分ばかりのトークルーム。諦めて画面を閉じた途端、新たなメッセージが来る。もしかして彼からかもしれないと思い、慌てて画面を見ると、そこにあったのは濱家さんからのメッセージだった。

「今週の金曜の夜とかどうですか？」

自分の予定とすり合わせてみても、ちょうど空いている日だったので、

「いけますよ」

とすぐに送る。

(どのお店行こうかな、個室のあるところかぁ)

いろいろと検索しながら、この間の彼の姿を思い出す。

(結構楽しみ、かも)

いつの間にか濱家さんとの予定に、気分が高まっている自分がいて、その時間だけは、あの人からの連絡が来ないことへの寂しさも、少し薄れていた。

─────────────────

「あ、濱家さ」

「すんません！！ちょっと仕事が長引いてしもうて、遅れました」

はぁ、はぁ、と肩で息をする彼に、

「大丈夫ですか？ちょっと失礼しますね」

とバッグからハンカチを取り出し、額の汗を拭う。

「あ、ありがとうございます！今度は、貸してもらう方になっちゃいましたね」

「あ、確かにそうですね！」

この前の出会いを思い出して、二人で笑う。少し経って、彼の息が整って来たところで、声をかける。

「行けそうですか？」

「はい、もう大丈夫なんで、行きましょ」

そう言うと、彼はサッと私の手を引いて、歩き出す。

「…っ！」

いきなりの行動に声も出なかったけれど、久しぶりの他人の温もりに、安心している自分もいた。

(これがあの人だったらなぁ)

でも、こんな状況でも思い出すのは彼のことで、なんだか濱家さんに申し訳なくなる。

「ん？どうかしましたか？」

「あ、いえ！早く行きましょう！」

私は余計な考えを振り払い、濱家さんの手をそっと握り返した。