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「失礼します」
ガチャっと扉を開けるとそこには濱家さんしかいなかった。
「あれ、山内さんいらっしゃらないんですね」
何となく気になり濱家さんに問いかけると
「あ、あぁ、ちょっとな。なんや用事あるらしくてさっき出ていったんですよ」
と少し動揺したように彼は答えた。軽く相槌を打ち、濱家さんの近くに行くと
「ちょっと待っててくださいね、」
とカバンをゴソゴソと漁りだした。少しの間待っていると
「あったあった。これです」
と今度は先程の個包装のものとは違い、アメの袋ごと取り出し、
「これ、好きな味選んでください」
と袋の口を向けられる。
「え、いいんですか！ありがとうございます！」
と袋に手を入れ緑色のアメを手に取る。
「これにします！」
と少し笑うと
「お、やっぱそれなんですね」
と彼も笑う。
「え、私の好みわかるんですか？」
彼の反応が嬉しくてつい調子に乗ってそんなことを聞いてしまったが、言った直後に後悔する。
(何聞いてるんだろう私？！そんなわけないじゃん〜…)
自分の発言にモヤモヤしていると
「いやその、たまたま聞いたって言うんですかね、」
なんて彼は経緯を話してくれた。
「え、そんな噂になってるんですか」
驚きと恥ずかしさで私は下を向く。彼の話によるとどうやら私がいつも緑色のもの、例えばメロン、青りんご味のお菓子や飲み物、緑色のペンやペンケースなどを好んで食べたり飲んだり、使ったりしていることがバレているようだった。
「そんで俺Aさんが緑のスマホケース使うとるの見て確信したっちゅうか、まぁそんな感じです」
照れ臭そうに頭をかく濱家さんに
「えぇ、ほんとに恥ずかしいです、」
と手で顔を被って返事をする。
「悪いことやないんやから良いじゃないですか笑」
楽しそうに笑う濱家さんを手の隙間から覗き、私も自然と口角が上がる。そんなふわふわした気持ちで彼と過ごしていると、
「あれ、Aさん腕怪我してます？」
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作者名：みぃこ | 作成日時：2023年2月16日 15時
