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あれから数週間。私はずっと、あの人のことを引きずっていた。
(うぅ、さむっ)
なんだか眠れなくて、川岸の小道に設置されているベンチに座って、コンビニの袋を漁る。やはり、昼間は暖かくとも夜は寒い。それでも、閉鎖的な家の中にいるよりは、気持ち的に楽な気がした。カシュっと缶チューハイを開け、ゴクゴクと流し込む。
「うまっ〜」
誰もいないことがわかっているから、独り言も捗る。そうして寂しさを紛らわしていると、後ろからカサッと足音が聞こえる。
「っだれ、」
怖くなりサッと振り向くと、そこには見慣れた姿があった。
「はま、いえくん？」
「A…？ほんまにAなん？こんなとこで何してるん？危ないやろ。早よ帰り」
なぜ濱家くんがここにいるのか。そして彼もまた、驚いているようだった。
「いや、その、寝れなくて」
「やからって、こんな夜中に女の子一人とか危ないやろ！」
「…」
私のために怒ってくれている。それはわかっているのに、
「そうだけど、私が何しようと濱家くんに関係なくない？」
こんな嫌味っぽいことを言ってしまう。あぁ嫌われたな、なんてぼんやりと考える。しかし、彼の次の言葉は、予想外のものだった。
「関係あるわ！俺Aのこと好きやもん！」
そんな衝撃的な言葉に、彼の顔へと視線を向ける。バチッと目があった。
「やから、もう一人でこんなとこおらんで…怖いんや」
そう言って濱家くんは、私の体をぎゅっと抱きしめる。どこにも行かせない、という強い意思を感じるような、そんな力強さだった。
「ごめん。心配してくれてありがとう。でも、返事はまだできない。ごめんね」
私はまだ、彼の背に手を回すことはできない。
「うん、わかっとる。でも、これからは俺に頼ってほしい。寝れへんときは、俺のとこ来てくれたらええから」
とりあえず、家まで送るわ。そう言って私の手を引く彼に、慌てて袋と飲みかけの缶チューハイを手に取り、ついていく。
「ね、せっかくだし、濱家くんの家に行ってもいい？一緒に飲みたい」
「ほんまに？Aがええなら全然！めっちゃ嬉しいわ笑」
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作者名：みぃこ | 作成日時：2023年2月16日 15時
