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ものすごく気まずそうにちらっと俺の様子をうかがうA。
「は?」
俺が思わず言葉を発した瞬間、ビクッと彼女の肩が跳ねる。
「それ断ったんやろな?当たり前よな?断ったんやろ?」
「え、えと、だからその断り方を今悩んでて、」
「はぁ?そんなんすぐにその場で彼氏おるんで無理ですってゆえばええやん。意味わからへん」
そんなよくわからない男にAを取られるかもしれない、という可能性が1ミリでもあるのが許せなくて、まくし立てて話す。するとAはムッとした顔で俺を見て、反論してくる。
「でも…!私その人とあんまり気まずくなりたくないんだよ。たまたま仕事でも関わってる人でもあるし、それに頑張って言ってくれたのにその場ですぐに断るのもあれかなって…」
「はぁ、Aは優しすぎるねん。そんなんスパッと断ってくれたほうが相手も絶対ええと思うで」
だから早く断れ、と心の中でめちゃくちゃに念じる。
「わ、わかったよ。明日にはもう断るから、ね?はまくんそんなに怒らないで?」
Aはすっと手を伸ばし、俺の手を取って上目遣いで見つめてくる。
「あぁもう!!そんなんされたら俺弱いねん!!知ってるやろ?ずるいわぁほんま」
ぎゅっと手を握り返してそのまま抱き寄せる。
「Aは俺から離れんよな?ずっと側におってや。やないと俺無理やから」
ぎゅっと今度は体を全体を抱きしめる。
「むりってなにー、はまくんはほんとに寂しがりやだなぁ」
よしよしと彼女に頭を撫でられて少しホッとする。それでも明日までは油断できない。
「ほんまに明日すぐ断ってや?確認でライン入れまくるから。もし断ってなかったら俺ホンマに何するかわからへんからな」
釘刺しのために耳元でAにそうつぶやく。
「っ、わかったがんばる」
弱々しい声で答えたAの赤くなっていく耳にそっとキスをした。
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作者名:みぃこ | 作成日時:2023年2月16日 15時