花氷が溶ける頃 (ページ17)

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15話ページ17

その日の放課後ー

目立ちたくない、と必死に頼み込んで
私と爆豪くんはバラバラに図書室へと向かうことにした

扉を開ける前に
何だか違和感を感じて窓から中を覗くと

人、人、人。

多くの人で図書室が賑わっていた。
それも、九割五分は女子生徒。

何でこんな事になっているのかは考えなくても分かった

よろよろと後ろに下がると何かにあたって
肩を支えられた

爆豪「何してんすか。」

振り返ると、そこにいたのは
この騒ぎの原因ーーー爆豪くんだった。

妃「ひ、人が多い、、、」

窓を指すと、彼はそれを覗いてーー
嫌そうにため息を吐いた

爆豪「これじゃ、勉強出来ねぇじゃねぇか」

しかし、彼は躊躇うことなく扉を開ける。
その瞬間、無数の視線が突き刺さるのが分かった。

無言の圧に、身体がすくむ。

私が入るのを躊躇っていると爆豪君に手首を掴まれ
半ば強制的にカウンターへと押し込まれた

爆豪「アンタがいねぇと貸出方法分かんねぇんすよ
さっさと捌いてこいつら追い出さねぇと。」

そう言うと爆豪君はカウンターから出ていってしまう。

爆豪「テメェらよく聞け。貸出時間は30分。
それを過ぎたら誰だろうが問答無用で追い出す。」

あまりにも強引なやり方に、私も周りも動揺が隠せない

すると、不服そうな雰囲気を感じ取ったのか
爆豪君が続けて話す

爆豪「悪いが、図書室の治安維持も
図書委員の役目の一環なんでなァ。」

言外に女子生徒達を害虫扱いする彼に思わず
呆れ笑いをしてしまう。

それと同時に、大勢を前にして
物怖じしない彼を眩しく思った。

周囲の人たちもさすがにこれ以上は
無理だと判断したのか
静かに本を選ぼうと散らばり出した

その中のいくつかの鋭い視線は
私に向けられている。

それでも、爆豪くんの背中に
隠されて、守られて。

不思議と、大丈夫な気がするのは
彼がヒーローの卵だからだろうか。