【6.】 ページ30
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はじめ side
着替えて部屋に戻るとAがドアの前で仁王立ちしてた。
は「ん、どうした?」
ちょっと動揺したけど、ポーカーフェイスでやりきる。
「いっ……」
よく見たら、Aの顔は真っ赤だ。
は「まさかのぼせた?こっちきて」
「えっ、わっ」
肩に手を回され、窓際の椅子に座らされる。
窓を全開に開けると、都会の風とは思えないほど新鮮で涼しい風が部屋に流れ込む。
は「はい、お水」
「あ、ありがとう、ございます……」
は「お湯の温度熱めだったもんな〜そりゃのぼせるわ」
「あ、あの違くて……」
は「え?でも顔真っ赤だけど……」
Aはまた黙り込んだ。
相変わらず赤いままで。
俺はずっと黙ってた。
すると、
「いっ、いっ……一緒に寝ま、せんか?」
いっ、一緒に……寝る?
は「…………へ?」
バフン!という音ともに俺の頭から煙が出た。
は「ちょちょ!A今日どうしたの!」
「き、今日は!試さなきゃいけないんです!」
は「え!?何を!?まさか俺!?俺ヘタレだからそういうのは!!」
「違いますよっ!私の中の問題です!」
は「あ、俺じゃないのか……」
ホッとした。
俺が奥手なのに直球でいけなんて無理なこった!
か、覚悟ってもんがあるだろう……。
「とっ、とりあえず一緒に寝ますよ!」
は「えっ!わぁぁっ!!」
Aは俺の上に飛び乗ってきて、下敷きになった。
「寝ますよ!」
すごい寝る人のテンションじゃないけど、
は「は、はい……」
編集が残ってるけどとりあえず、一緒に寝るか……。
俺がノソノソと布団に入ると、Aもノソノソと布団に入ってきた。
「暑いですね」
は「そりゃまぁ」
「でもすぐに眠れそうです」
は「そうね、疲れたもんね」
俺はAの頭を撫でる。
Aは気持ちよさそうに目を瞑って少し微笑む。
可愛いな、オイ。
「はじめさん、今日楽しかったです?」
は「そりゃあたりめぇよぉ」
「なんか連れまわしちゃったみたいで……」
は「楽しませてもらったから大丈夫よ」
「そうですか……?」
Aは俺との距離を縮める。
「あ……私……」
もう半分寝ているAが、小さく呟く。
「……はじめさんの、匂い……好き……」
そういって規則正しい吐息を立て始めた。
俺はというと。
ニヤケが止まらなくて、起こさないように優しくAを抱きしめた。
もう少しだけ、このままで。
編集は、後回し。
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作者名:999 | 作成日時:2019年6月4日 2時