3 はじまりの川辺にて(下) ページ5
「か、金を出せ!!さささ、さもないと酷い目に合わせるぞ!!」
『わぁ、なんて下手くそな恐喝』
「う、うるさい!僕は本気だぞ!」
いや君、「良心が咎めて仕方ないです」って顔しながら詰め寄られてもなんら怖くない……。
寧ろ微笑ましさすら感じる。
『別にいいけど…何に使うの?』
まあ、知ってるんですけどね!
「え、いいんですか?!…え、その…空腹で…」
パァァアと顔を綻ばせた少年は、お腹を擦りながら眉を下げた。
う〜ん!この見るからに善良そうな雰囲気。
どこからどう見ても光属性。主人公だもんなぁ、この子。
まあ、ここまでは"予定調和"
『ん。いいよ、ご飯食べに行こ』
「や、やったー!これでまだ数日は生き延びれるぞ!本当にありがとうございます!!」
『でもそろそろ……』
「?」
彼が流れてくる頃合なのでは?
不思議そうにする少年を横目に川の方を見れば、人間の足が二本、川に突き刺さるようにして浮かんでいた。
『…ご飯食べるのは、あの人をどうにかしてからにしない?』
「ええええ?!なにあれ!?」
『申し訳ないけど、私泳げないから…任せた!少年!』
泳いだことないからもしかしたら泳げるかもしれないけど。なんて言葉はそっと胸にしまい込み、躊躇いもなく人命救助に向かった少年を見る。
──嗚呼、なんて美しい人なんだろう
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作者名:砂上 | 作成日時:2023年3月21日 18時