視覚 ページ20
「それにしても、なんであんな事したんだ。手のひらが火傷してしまったら、最悪の場合剣が握れなくなるかもしれないんだぞ?」
「いや、もう冷えたと思って…触ってみても熱くなかったしさ」
「温度も、分からなくなってしまったんだな」
「いやぁ、面目ない」
Aの病状は悪化の一途を辿るばかり。
治療法が無いのだから当たり前と言えばそうなんだが、それでも何も出来ずに目の前で少しずつ何かを失っていく彼女を見るのは、辛かった。
「あのね炭治郎。無理に私に付き合わなくていいからね。ほら、辛いでしょ…こういうの」
「俺がやりたくてやっているんだ。俺らしくあることを、Aも咎めないでくれないか?」
「そういう言い方する?」
「お返しだ」
暫くそうして話しているうち、やはりAが右目辺りを気にしているのが分かった。
どうしたんだろう、ゴミでも入ったんだろうか。
「目にゴミが入ったのか?」
「うーん、まぁ痛くないし大丈夫大丈夫」
だけどAはそう言ったあとも、何度か不自然に瞬きをしたり。
少し、気になるな。
そうこうしている間に、手を冷やし終わって、1度しのぶさんに手を見てもらう事にした。
素人目では分からないこともあるし、万が一何かあったら大変だ。
「立てるか?」
「大丈夫だって、心配しすぎだ」
へら、と笑いながらAは立ち上がった、はずだった。
「あれ?」
立ち上がろうとしたAが、右側へふらりと倒れた。
よろめくとかじゃなくて、本当に力なく右へと倒れたのだ。
とっさに手を伸ばして、Aの身体を支える。
「危ない!本当に大丈夫なのか?!」
「ごめんごめん、ちょっと目眩がしただけだよ」
嘘の匂いが鼻を掠めた。
悪意のある嘘じゃない。
俺を心配させまいと、それで…それは十分に分かっている。
でも、そんなに頼りないだろうか、俺は。
それにしても、やっぱり様子がおかしい。
・
・
…目?まさか、な。
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みょん(プロフ) - 複雑な気持ちになりました。貴重な体験、楽しい時間をありがとうございました。! 長文失礼しましたm(_ _;)m (2023年3月19日 21時) (レス) id: 1ba8aac85f (このIDを非表示/違反報告)
みょん(プロフ) - なりました。夢主の気持ちもめっちゃ分かるし炭治郎の気持ちもわかります。五感がなくなっていくという感覚などは、分からないけれど、本当に夢主になったような気持ちで読めることができました。作者様は本当に凄いですね。この作品を読んで言葉で表せないくらい (2023年3月19日 21時) (レス) id: 1ba8aac85f (このIDを非表示/違反報告)
みょん(プロフ) - めっちゃ感動しました(泣)大号泣です!感無量です。神作品を作ってくださってありがとうございます。特に最後の子守唄を歌うシーン。段々と炭治郎の声が聴こえてこなくなって、もっと大きな声で歌ってとお願いするシーンがなんというか、とても切ない気持ちに (2023年3月19日 21時) (レス) @page36 id: 1ba8aac85f (このIDを非表示/違反報告)
ワンコ - 感動(>人<;) (2021年3月29日 23時) (レス) id: 1e9b1e52b8 (このIDを非表示/違反報告)
ねこ - 柱の物語みたいです (2021年1月19日 22時) (レス) id: 751c2cfce8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ハナ | 作成日時:2019年11月23日 10時