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気持ちや痛みが落ち着いた頃、立ち上がって街の散策を続けた。









あのまま打ちひしがれていても自分の寿命は伸びちゃくれないし、無駄なだけだと自分に言い聞かせて歩く。









「無駄な時間を過ごすことすら今はもう惜しい」









我ながら生き急いでるな、

いや生き急がなきゃいけないんだけど、









「わ、ここって…」









今まで全く縁のなかった場所。









流行りの着物屋だった。









お洒落にかまかけている暇があれば鍛錬だと幼い頃から口酸っぱく言われ、





鬼殺隊に入った後も蜜璃ちゃんにお下がりを貰うくらいで、お洒落な着物の1着も持っていない。









隊服の上から着ている羽織も、母の形見で質素な柄だし…









「…せっかくだし、1着好きなの買おうかな。
明日1日それを着て…うん、いいかもしれない」









明日までの命なのだから、普段の自分なら似合わないことも何でも全部やってしまおう。









しかもお金ならたんまりあるわけで。







値段も似合うかも気にせず好きな柄の着物を買おう。









簪も、履物も素敵なのを買って…普通の女の子みたいに生きてみようか。









なんて、そんなの明日だけだけど。









そろそろとお店の中に入れば、美しい着物が目に飛び込んできた。









360度着物。









正直鬼を目の前にするよりも緊張する。それに…









「浮いてるなぁ、自分…」









周りには可愛らしい着物に身を包んだ、女の子たち。









対して自分は…ため息をつかざるを得ない。









いたたまれなくなって、外に出ようか、いや最後なのだから、と葛藤していると、









「いらっしゃいませ、何かお探しですか?」









「ひゃい!!」









後ろから急に声をかけられて、驚いて変な声を上げてしまった。









恥ずかしい。









「すみません、驚かせてしまいましたね」









「あ、いえ、その、大声上げてすみません」









顔に熱が集まっていく。









お店の人は可愛らしく笑って、「いいえ、」と言った。









「あの、私お洒落したこと、無くて…見ての通り疎遠なんです、そういう類いから」

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設定タグ:鬼滅の刃 , 死ネタ   
作品ジャンル:アニメ
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なーな - 初見です! 完結お疲れ様でした!めちゃくちゃおもしろかったし感動で涙でしたっっっ!!! 素敵な小説をありがとうございました! (2021年11月30日 15時) (レス) @page45 id: 03957af64f (このIDを非表示/違反報告)
もちゃ - 泣いちゃったw (2021年1月25日 0時) (レス) id: b4bfec10e3 (このIDを非表示/違反報告)
うさぎもち - 号泣しすぎて...う"う"う" (2021年1月20日 22時) (レス) id: 676d0f88d2 (このIDを非表示/違反報告)
さけふろ - 感動です! (2021年1月11日 15時) (レス) id: c7bf1c88de (このIDを非表示/違反報告)
夢鸞 - 号泣です。素晴らしいお話、ありがとうございました。 (2020年11月29日 12時) (レス) id: 640116ca2f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ハナ | 作成日時:2019年9月30日 13時

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