あと2日 ページ19
昨日で柱の皆への挨拶回りは終え、今日は1人で街へ出かける予定だ。
昼間は街を巡ったり、あとはまぁ、気に入った死に場所があればそれも探して…
夜は柱として最後の任務をする。
お館様の計らいで、明日は1日任務もなく、屋敷で落ち着いた最後を迎えることが出来る。
産まれてから最初で最後の、普通の人としての一日を明日は過ごすことが出来るのだ。
お館様には感謝してもしきれない。
だから今日は鬼殺隊として…柱としての最後の任務。
初心を思い出して、きっちり仕事しよう。
だが、その前に。
「街でぶらぶらするのは久しぶりだな、楽しみ」
少し、街でうつつを抜かそうか。
────────
とはいえ夜は任務なのだから、可愛い着物なんて着ながら街を歩くなんてことは出来ない。
相も変わらず隊服で街を歩くのだから、いやでもこの隊服を着るのも今日で最後…そう思うと女らしくなくてあまり好きでは無かったコレも、なんだか名残惜しいような。
「今日はお金沢山持ってきているから、散財するつもりで使うぞ…」
なんて意気込みながら、街を進むと…どこからか甘いような香ばしいような匂い。
これは、好物の…
「醤油みたらしの、匂い」
匂いの方へ足を進めると、甘味処へとたどり着いた。
朝ごはんをしっかり食べなかったのもあり、腹の虫がきゅるると控えめに鳴き声をあげる。
「…食べようかな」
席について団子を4本頼むと、直ぐに看板娘が団子を持ってきてくれた。
口に入れると、いっぱいに醤油みたらしの味が広がる。
「おいしいな、」
ぱくぱくと口に入れるていくうち、あっという間に団子を食べ終わってしまった。
代金を払い店の外へ出て、ぐっと伸びをする。
自分の少し茶色がかった前髪が日に透けて優しく光った。
おもむろに日に手をかざすと、手の甲が透けて血潮が見える。
ああ、私生きてる。
そう思いふっと頬を綻ばせるも、つかの間。
突然心臓が鷲掴まれたようにぐっと苦しくなる。
周りに不審がられぬよう、そっと路地に入り蹲った。
息が上がり、一層の痛みが胸を突き抜ける。
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なーな - 初見です! 完結お疲れ様でした!めちゃくちゃおもしろかったし感動で涙でしたっっっ!!! 素敵な小説をありがとうございました! (2021年11月30日 15時) (レス) @page45 id: 03957af64f (このIDを非表示/違反報告)
もちゃ - 泣いちゃったw (2021年1月25日 0時) (レス) id: b4bfec10e3 (このIDを非表示/違反報告)
うさぎもち - 号泣しすぎて...う"う"う" (2021年1月20日 22時) (レス) id: 676d0f88d2 (このIDを非表示/違反報告)
さけふろ - 感動です! (2021年1月11日 15時) (レス) id: c7bf1c88de (このIDを非表示/違反報告)
夢鸞 - 号泣です。素晴らしいお話、ありがとうございました。 (2020年11月29日 12時) (レス) id: 640116ca2f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ハナ | 作成日時:2019年9月30日 13時