あと3日 ページ16
次の日、私はお館様のお屋敷に来ていた。
近況報告と、それから私の花のこと。
お館様は驚いて悲しそうな顔をしていたけど、「君はいつまでも、私の誇らしい子供だからね」と、言ってくださった。
私も、いいえ私こそ。
貴方に仕えることが出来て、本当に幸せでした。
お屋敷から帰る途中廊下を歩いていると、どこからか風に乗って、すうっと紙飛行機が飛んできた。
これは、時透君のもの?
紙飛行機が飛んできた方向へ向かって歩くと、襖が1つ開いている部屋を見つけた。
そうっと覗き込めば、そこには、
(時透君、と悲鳴嶼さんだ)
床には大量の紙飛行機が散らばっており、まるで絨毯のように床を覆っていた。
その中心で時透君は紙飛行機を折り続けており、悲鳴嶼さんは庭の方に開け放たれた軒の下で、相変わらず数珠をジャリジャリと鳴らしている。
「こんにちは」
そう言って部屋の中に入れば、時透君がパッと顔を上げ、頬をほころばせた。
「Aさんだ、こんにちは」
「こんにちは、時透君。」
いつもの無表情の彼はどこか大人びていて、周りは関わりにくい、と言うけれど、
今目の前でへへ、と笑う彼は、やはりまだ幼い子供だった。
「悲鳴嶼さんも、お久しぶりです!」
「あぁ、水瀬…久しぶりだ…」
悲鳴嶼さんもお変わりないようで良かった。
「2人はどうしてここに?」
「僕と悲鳴嶼さんは合同任務だったんだよ…。
さっき報告を終えて、今は休ませてもらってる」
休ませてもらっていると言う割には、時透君のそれは休んでいるようには見えないが…
「ねぇ、Aさんはどうしてここに?」
「あぁー、近況報告かな。最近鬼が多いし」
「ふーん?」
時透君はそっか、とこぼして私を座らせると、私の膝の上に頭を乗せて寝転がった。
いつもは恥ずかしいからやめて、と頭を床に降ろすが、これが最期だと思うと、なんだか寂しくて降ろせなくて。
そのまま時透君の柔らかな髪を撫でた。
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なーな - 初見です! 完結お疲れ様でした!めちゃくちゃおもしろかったし感動で涙でしたっっっ!!! 素敵な小説をありがとうございました! (2021年11月30日 15時) (レス) @page45 id: 03957af64f (このIDを非表示/違反報告)
もちゃ - 泣いちゃったw (2021年1月25日 0時) (レス) id: b4bfec10e3 (このIDを非表示/違反報告)
うさぎもち - 号泣しすぎて...う"う"う" (2021年1月20日 22時) (レス) id: 676d0f88d2 (このIDを非表示/違反報告)
さけふろ - 感動です! (2021年1月11日 15時) (レス) id: c7bf1c88de (このIDを非表示/違反報告)
夢鸞 - 号泣です。素晴らしいお話、ありがとうございました。 (2020年11月29日 12時) (レス) id: 640116ca2f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ハナ | 作成日時:2019年9月30日 13時