あと7日 ページ3
でも、具体的にどうやって別れを告げればいいのか、さっぱり分からない。
素直に、｢あと一週間で私死にますよ、｣
とかそんなのは流石に淡泊過ぎるし、
｢あら？Aさんじゃないですか？｣
｢こ、胡蝶さん｣
｢嫌ですねぇ、しのぶって呼んでください。
お友達なのですから、距離があると寂しいです｣
｢ごめんなさい、つい癖で…
しのぶさん、お久しぶりですね｣
柱合会議以来ですね、としのぶさんは笑った。
相変わらず、可愛らしい人だ。
｢蜜璃さんと私とAさんで、甘味処に行こうって話してから、結局言ってませんねぇ。
Aさんはいつ予定が空いてますか？｣
予定、予定なんか、私は、もう…
｢…今日、空いてますよ｣
｢本当ですか？私も今日お休みです！
確か蜜璃さんも今日は非番だと言ってましたし…
どうでしょう、今日の3時頃、蝶屋敷に待ち合わせで｣
｢いいですね、｣
｢…？Aさん、なんだか元気ありませんね。
どうしましたか？悩みならいくらでも聞きますよ｣
｢実は、｣
言いかけて、はた、と口を止めた。
今言って、良いのだろうか。
彼女はこの後、自分と甘味処へ行く。
今話してしまえば、楽しむために行くのに、きっと悲しい思いをしてしまう。
｢あの、腰を痛めたんです。
鬼を追いかけてる途中で屋根から落ちまして｣
｢そうだったんですか…ふふ、おっちょこちょいですね、Aさんは｣
｢お恥ずかしい限りです…｣
｢屋敷にいい湿布があります。あとで鎹鴉に預けますから、腰に貼ってよく休んでくださいね。
この後、楽しみにしてます｣
しのぶさんはそう言うと、ひらりと風に舞う蝶のようにどこかへ行ってしまった。
いつ話そうか、と考えていたが、例えば今、柱の皆に伝えたとして。
あと一週間、皆はきっと自分の顔を見る度悲しい顔をするだろう。
皆は優しいから、変に気を使うことも多くなるかもしれない。
それは、嫌だ。
いつも通り接してもらって、それで…
｢やっぱり、言うのはやめよう｣
残り1週間、皆には打ち明けずに、それでいて未練が残らないように皆の顔を見てから、ひっそりとどこかで野垂れ死のう。
バレないように、遠くで。
皆の悲しい顔は見たくないから。
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なーな - 初見です！ 完結お疲れ様でした！めちゃくちゃおもしろかったし感動で涙でしたっっっ!!! 素敵な小説をありがとうございました！ (2021年11月30日 15時) (
レス) @page45 id: 03957af64f (このIDを非表示/違反報告)
もちゃ - 泣いちゃったw (2021年1月25日 0時) (レス) id: b4bfec10e3 (このIDを非表示/違反報告)
うさぎもち - 号泣しすぎて...う"う"う" (2021年1月20日 22時) (レス) id: 676d0f88d2 (このIDを非表示/違反報告)
さけふろ - 感動です！ (2021年1月11日 15時) (レス) id: c7bf1c88de (このIDを非表示/違反報告)
夢鸞 - 号泣です。素晴らしいお話、ありがとうございました。 (2020年11月29日 12時) (レス) id: 640116ca2f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ハナ | 作成日時：2019年9月30日 13時
