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楽しく話していくうち、気がついたら冨岡さんの屋敷と私の屋敷への道の分かれ道の前に立っていた。
もう、おしまいかぁ。
もう少し話していたかったな、
「それじゃあ、私はこっちの道に行きますので。
冨岡さん、おやすみなさい!」
そして、さよなら。
「…水瀬」
「どうされました?」
冨岡さんはおもむろに手を上げると、私の頭を不器用に撫でてくれた。
少し冷たくて、優しい、冨岡さんらしい手。
「お前は、よく頑張っている」
「は、はい?」
「お前は自分を弱いと思っているようだが、お前は十分強い。…直すべきはそのすぐ我慢をする癖だ」
「ありがとう、ございます…?」
「だが人は1人では生きていけない。お前は強いが、もう少し周りを頼ることを覚えろ。でなければその身を滅ぼすぞ」
「今日は、随分、流暢に…喋るん、ですね」
冨岡さんが言葉を紡ぐたびに、自分の頭が下がっていくのがわかる。
なんでそんなに優しいんだろう。
暖かで不器用なその優しさが、今はとても辛い。
胸の蕾が、またキュウと痛んだ。
ぽろり、と涙がこぼれ落ちた。
泣くな泣くなと心に聞かせるたび、相反して涙がとめどなく落ちて地面に黒いシミを作っていく。
いけない、冨岡さんがオロオロしている。
そりゃ、いきなり泣いたらそうなるよね。
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なーな - 初見です! 完結お疲れ様でした!めちゃくちゃおもしろかったし感動で涙でしたっっっ!!! 素敵な小説をありがとうございました! (2021年11月30日 15時) (レス) @page45 id: 03957af64f (このIDを非表示/違反報告)
もちゃ - 泣いちゃったw (2021年1月25日 0時) (レス) id: b4bfec10e3 (このIDを非表示/違反報告)
うさぎもち - 号泣しすぎて...う"う"う" (2021年1月20日 22時) (レス) id: 676d0f88d2 (このIDを非表示/違反報告)
さけふろ - 感動です! (2021年1月11日 15時) (レス) id: c7bf1c88de (このIDを非表示/違反報告)
夢鸞 - 号泣です。素晴らしいお話、ありがとうございました。 (2020年11月29日 12時) (レス) id: 640116ca2f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ハナ | 作成日時:2019年9月30日 13時