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「あ、Aきた〜」
「お疲れお疲れーい」
「席取っといたよー」
「お待たせ、」
食堂でみんなの姿を見つけると、食券機に寄ることなくみんなの元へ向かう。
「Aは後期もお弁当持参？」
「そー、簡単なのしかできないけどね」
「いやいや用意すること自体が偉すぎ家庭力高すぎ」
「相変わらずおいしそやなー」
大学に入ってから本格的に頑張り始めた自炊。
実家暮らしの頃はお母さんの手伝いさえまともにして来なかったが、
大学でサークルにも入らなかったため、
バイト以外にやることがなく、
とりあえず自炊は始めてみた。
「まじAなら男子の胃袋もすーぐ掴んじゃいそうだよね」
「家に呼べるほど男の子と仲良くなること自体が難しいんだよ」
「ま、確かに」
「私にも簡単で美味しい料理のレシピ教えて欲しい〜」
「宮くんに作るんか〜うらやまし」
「何出しても喜んでくれるだろうけどっ」
宮くんは琳の彼氏。
大学の講義のグループワークで仲良くなったんだって。
夏休み中も何回かデートして、宮くんから告白されたらしい。
「いいなぁ彼氏。」
「麻央も彼氏欲しいの？」
「欲しいよ〜彼氏と推しは別やもん」
「バ先の例の人は？」
「それがさぁ、他の女にも声かけてたみたいやねん！
同じバ先の人にも声かけてきたみたいで、あいつはもうブロ削したわ！」
「それは散々だ」
私以外の３人はダンスサークルに入っていて、充実してるみたい。
琳には彼氏がいるし、
他の二人もそこそこ男の子との絡みも多い。
「てか、Aから男絡みの話あんま聞かなくない？相変わらずないの？」
サークルも無所属、バイト先の和食レストランのホールもほぼ女の子。
『Aさんね、よろしく、』
そういえば今日久しぶりに男の子から名前で呼ばれたな、なんて思いながら。
「ほんっとにないね、」
今朝作った甘じょっぱい卵焼きを頬張った。
．
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作者名：みな | 作成日時：2023年12月14日 17時
