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「皆さん非常にテンション低いですねぇ、
では、席替え、しましょうか。」
学生のドイツ語での挨拶の声が小さく、苦笑いを浮かべながらそういった教授。
この人は結構テストも難しく、いうことも厳しいときいたことがあるが、
私はこういうところ、好きだと思う。
厳しめの態度も学生を思ってなんだろうな〜とか。
そんなことを思いながら回ってきたクジを見て、机に書かれた番号のところへ移動の準備をする。
「Aちゃんどこだった?」
「私廊下側の列の真ん中らへんだ。」
「え、通路挟んで隣だ!」
とまあなんとも運命的なものもありながら、
新しいペアの人誰だろうと思いつつ席についた。
ギーッ
隣の席の椅子が引かれ、
反射的に見てみると、
「…っす」
金髪パーマの、キリッとした一重の男の子が座っていた。
「…どうも、」
大学生になって、というか高校までもそんなに男の子との関わりがなく、
久しぶりの交流に少し緊張してしまう。
「席大丈夫そうですかね、
じゃあお互いにドイツ語で自己紹介してください。」
と、恒例のペアワークが始まった。
たまにペアワークちゃんとやってくれない人いるから、大丈夫かなぁとか思ったけど。
「えー、
と、金髪パーマなのに…と、それはちょっと失礼か。
なんと向こうから始めてくれた。
「あ、えと、
「Aさんね、よろしく」
「うん、よろしく、」
「出身どこなん?」
ドイツ語でのワークが終わっても話しかけてくれて、
見た目はちょっと怖いなぁとか思ったけど、
いい人そうで安心した。
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「では、今日の授業はここまで」
教授の号令で、学生が一斉にカバンの中に荷物を詰め、
1分でも早く学食へ行こうとしている。
一方の私は、焦ることが嫌いで、何事にもマイペースを貫く。
隣の席の山田くんも私と同じタイプらしく、
急ぐことなくカバンに荷物を詰めていた。
「んじゃ、」
「お疲れ様ー、」
一人で教室を出て行く後ろ姿を見ながら、
私と同じでこの授業で友達見つけるの苦労したのかなぁ、
とか失礼なことを考えていた。
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作者名:みな | 作成日時:2023年12月14日 17時