私だけの、恋物語 (ページ1)

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「ハーモニカバンドどうですか〜！」

「サッカー部、選手もマネージャーも大募集中です〜！」

「そこの一年生、新歓来ないですか！タダ飯食べれますよ！！」

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大学の大通りが、サークル勧誘の先輩たちで溢れかえっていた入学当初が

もう懐かしく感じる。

ミーンミンミンミン

本来7月末から8月にかけて大騒ぎするはずの蝉が

暑さのせいか、時期を遅らせて大合唱を始めた10月初め

「あっつい…10月じゃない…」

大学生特有の長い長い夏休みが終わり、大学の後期授業が始まる。

4月、地元を出て大学進学をきっかけに一人暮らしを始めた。

中高、一貫というわけではないが、

ほぼメンバーが変わらなかったため、

友達の作り方を忘れ、不安いっぱいで大学の新入生オリエンテーションに参加した。

Twi◯tterで＃春から〇〇大で検索し、

友達を作ろうと必死にDM送ったりしたこともあったなぁ、なんて。

ガラガラガラ

久しぶりに来た大学。

久しぶりに開けた講義室の扉。

教室を見渡すと、髪の毛が染まっていたり、少し肌が焼けたような友人たちの姿があった。

「あ、おはよ〜」

「Aじゃん〜ガチ久しぶりくない？」

「おはよ〜それな？元気してた？？」

高校時代はあまり喋らず、目立たないグループにいた私。

７０人ほどいる同じ学科生の中でも結構目立つ、4人組の中に私もなぜか入っている。

「Aは相変わらず余裕そうだね〜」

と、椅子に座りながら私の肩をポンポンと叩く、高身長でスタイル抜群の女の子は、原園琳。

このグループの長的な、1番元気な、人懐っこい女の子。

「羨ましいわ〜ウチ寝坊しそうやったもん

一年の必修ってなんで1限ばっかなんやろうな」

と、その関西弁だけでも珍しいのによく通る声で、よく喋るおしゃべりメーカーの福沢麻央。

この子が、新入生オリエンテーションで一人だった私に声をかけてくれて、

大学で初めてできたお友達。

この夏髪色をハイトーンに染めたらしく、さらに存在感がアップしている。

「私も寝坊すると思ったから琳にモーニングコールしてもらった〜」

と、琳にすりすりする癒し系の小柄な女の子は長内日菜。

コミュ力お化けで、誰とでもすぐ仲良くなってしまう。

友達間でのAというあだ名をつけてくれたのもこの子だ。

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