捨て犬と先輩 3【HQ】

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勝手に空気が気まずく感じてしまう




きっとこれは私だけなんだろう







牛｢…何かあったのか｣






何も答えなかったからか、牛島さんは少し気まずそうな顔をしてこちらを見ていた





また大きく胸が跳ねる







私は笑顔を作って首を横に振った







すると牛島さんはまた短く"そうか"と答えた







…いつも通り。




いつも通り。







そう思ってるのに、少し沈黙になるとなにか話題がないかと焦る







牛島さんはいつもと特に変わらずまっすぐ前を見ていて、相変わらず大きい







｢…試合、応援してます｣







そう声をかけると一瞬視線だけこちらに向けて頷いていた






……





何気、この時間も好きだったのかもしれない








普段誰かと特に話すこともしないし、男の人とこんなに話しながら歩く事なんて無かった






だからこそ楽しかったのかも







偶然助けてくれた彼はとっても凄い人だったし。








｢いつもありがとうございます｣







その時間も無くなる




そう考えるとやっぱり少し寂しい







首を傾げる牛島さんを後にちょうど学校に着いて、私は中に向かった








……







戻ると、相変わらず大きな木を見ている牛島さん







そんな姿でさえ思わず笑みが溢れる







私が近付くと、私に気付いて一瞬こちらを見たけどまた木に視線を移した








牛｢…春｣






そうポツリとつぶやく牛島さん






…春？






牛｢春になったらここに来たい｣







……………？





まっすぐ木を見る牛島さん





言葉の意味が少しよく分からない







牛島さんは木から目を離して私の方を向いた








牛｢何でもない。帰ろう｣







そう言って駅へ向かった牛島さんを私は何も言えずただ追いかけた






…やっぱりよくわからない。







…







｢牛島さん｣







私が声をかけると視線だけこちらに向けてくれる牛島さん








｢まだ話せませんが、お話があります｣








これだけでも伝えておいたら、少しは楽になるかな






牛｢今じゃダメなのか｣







牛島さんは不思議そうな顔をしてそう言った







笑顔が崩れそうなのを必死に抑えて、本当のことを伝える






大丈夫。







｢一番初めに伝えたい人がいるんです｣







だからまだ時間がかかりそうだけど…






牛島さんにも早く伝えたいけど、何となく一番最初に彼に伝えたい

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