あなたと 6 【HQ】

250 西谷 ページ1

"夕！"








"…先輩、話があります"









"先輩は悪くありません"








"何か察してたなら何もしないで欲しかった"









"許さないなんて言いません。


だからもう……"









ふと蘇る







Aの色もなくなった目






全てを諦めているような話し方









俺を他人と区別した話し方








忘れたくても忘れられない







いや、忘れちゃいけないことなのかもしれない








俺の起こした過ち








俺の前で制服を脱いだのも、あの跡を見せたのも








限界だったからこそ他人である俺に話してくれた









それでようやく気付くなんて馬鹿だ









田｢ノヤ！！！！！！！！｣








耳元でデカイ声






西｢…おう！なんだ！！！うるせえ！！｣








耳がキーンって








龍は大きくため息をついた








田｢さっきから何回も呼んでんのにぼーっとしちゃって｣








…そうだったのか







…そう





今こんなこと考えたってどうにもならない







過去は過去だ









田｢…あ、菅さん｣








その隣には松葉杖を付く女の姿







…Aだ









"付き合ってるんじゃ…"








苦しみを全部菅さんに打ち明けていた







"何か察してくれた"







俺も察していたのに。









俺よりも……









"私も…"









そんな事ない







過去は過去で、今は今。








西｢行くぞ！龍！｣






そう言うと龍は少し驚いたように俺を見た








田｢…えっ、あ…ノヤさん…何も思わないの？｣








菅さんとAの事だろうな









西｢アイツがしたいようにしたらいい！






Aは離れていかない｣









俺と付き合っているからと言って、頼りにしてた菅さんや影山との関係を切るのは違う









西｢逆に俺が嫌だし。



会うなとも、話すなとも言わない





別になんとも思わない｣









うん。AはAだし









すると龍はポカーンとした顔で俺を見ていた









田｢やっぱノヤさんカッケェぜ！！！！｣








そう言いながらバシバシ叩かれる







西｢だろ！！自信がなきゃやってけねぇからな！｣








他のところへ行くなんて考えない






他のとこへ行くなら行くでいい









田｢…ところで、離れないって事はそういう事で？｣









…いざそう言われると恥ずかしい






やっぱり俺らに付き合うって言葉は違和感すぎる…

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