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絶対安静ですよ!という胡蝶を何とか説得し、善逸と伊之助の肩を借りてAの病室に向かう煉獄。炭治郎は深手を負っているので着いていくだけだ。
静かに部屋に入るとベッドに横たわっているAが目に入った。胸は上下しているから生きてはいる。
その頬にそっと触れた煉獄は驚いた。
「よもや…こんなに冷たい」
「そうなんです。ちゃんと、生きてはいますが…これではまるで…」
死人のようだ、と誰もが思ったが決して口には出さなかった。
「少しだけ、二人にしてくれないか」
ベッド脇の椅子に座った煉獄はそう言った。
炭治郎たちが出ていくと、煉獄は布団から冷たいAの手を出ししっかりと握った。
「竈門少女…早く起きてくれ」
あの時、煉獄は死を覚悟した。
しかしAは煉獄の言葉を一蹴し、「死んだら絶対許さない」と言ってきた。
…確か馬鹿柱と言われたような気もする。
Aの流す涙があまりにも綺麗で……あぁ、この子は絶対に手放したくないな、と強く思ったものだ。その後、腹部を温かい光が包み…必死に呼吸で止血したりしていたが気づけば意識を失っていた。
「君の返事…聞かせてくれるのだろう?逢い引きに行くのだろう?…可愛いA…俺は君を逃がしはしないぞ?」
煉獄は手の甲にそっと口付けた。
それから半月、煉獄は毎日のようにAの病室に通いつめ、暫くの時間手を握って過ごした。
煉獄自身は驚異的な回復力を発揮し、普通に歩けるまでにはなってきた。
腹部の傷はAのお陰で塞がっているが、内蔵は治しきれなかったためまだ時間がかかる。
内蔵を複数貫かれた後遺症として、全集中・常中の呼吸が以前よりやりにくくなるらしい。
左目は…雨宮が言った通り、すでに傷は治ったが、視力が格段に落ちた。しかしAがいたとしても今から視神経を繋ぎ合わせ網膜や角膜を弄って視力を完全に回復力させるのは無理だろうとのことだ。
それでも本当は生きていること自体が奇跡だということを煉獄は一番よく知っている。
「竈門少女…少年たちも心配しているぞ?早く起きてくれないか…?」
Aの足元や体回りにはいくつか湯たんぽが置かれている。
アオイたちが冷えた体を心配して入れてくれたのだ。
そのお陰か否か、少しずつ体は温かみを取り戻している……ような気がする。
「……炎柱、またいんのか」
「雨宮殿…」
「大丈夫、こいつはそのうち目覚めるぜ」
そして、その時は唐突に訪れた。
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ゆり(プロフ) - あの…舐めるとか刺激が強すぎるので※付けてもらえませんか… (2021年8月14日 2時) (レス) id: 3faa843c0c (このIDを非表示/違反報告)
紫音(プロフ) - ohyutayaさん» 言いました!しかし本人は言った瞬間気付いておりません(^-^) (2021年8月8日 17時) (レス) id: 9d2f0b0ee2 (このIDを非表示/違反報告)
ohyutaya(プロフ) - 私の煉獄さんってサラッとすごいこと言いましたね (2021年8月8日 17時) (レス) id: a99629f64d (このIDを非表示/違反報告)
紫音(プロフ) - 晴琉-haru-さん» ありがとうございます(^-^)更新頑張って煉獄さんへの愛をぶつけていきますので、よろしくお願いします! (2021年8月5日 9時) (レス) id: 9d2f0b0ee2 (このIDを非表示/違反報告)
紫音(プロフ) - 空さん» ありがとうございます!夢主ちゃんにはいつでも瞬時に反応する煉獄さんです! (2021年8月5日 9時) (レス) id: 9d2f0b0ee2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紫音 | 作成日時:2021年7月17日 16時