光を求める少女の話【文スト】【太宰治】【５】

第百八十三話＿ポオ ページ12

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乱歩「Aーーーー！！！！」



全速力で此方に向かって走って来る乱歩をAは綺麗に避ける
抱き付こうとした乱歩はそのまま倒れてしまった



乱歩「何で避けるの！！！？？」



A「ごめんなさい。でも、其の格好で抱き付かれたら、日傘が壊れちゃう」



まだクマの着ぐるみを脱いでいなかった乱歩。確かに、そんな姿で抱き付かれては、日傘処かA自身も吹っ飛ばされていただろう



A「国木田に会えた？」



乱歩に手を差し出しながら問う。ギュッとその手を掴み、「うん！」と答えながら、彼は立ち上がった



国木田は今、横浜市警 第二七警備所 併設 留置所にいる
共喰いの際、彼は魔人の罠に嵌められ、"殺人"の容疑で留置されている



貧民街の少女は手榴弾を"己の手"で起爆させたのだが
目撃者も居らず、証拠も敵によって抹消済み、少女の使った手榴弾も探偵社の採用型番と一致しているため、国木田の主張は通らなかった



乱歩は国木田を無罪にするために、《鼠》の証拠隠滅専門家を捕まえようとしている
Aも最初から乱歩に協力するために行動を共にしているのだ



ポオ「ふぅぅむ〜〜〜難しい……」



"知の巨人"ことエドガー・アラン・ポオは手元の雑誌を見ながら難しい顔をしていた



ポオ「この作品の謎は必ずや、我輩が最初に……」



乱歩「あっはっはっはっ！！」



ポオ「ん？」



突如、聞き覚えのある笑い声が聞こえてきたかと思えば
その笑い声の主にタックルをされポオは「どおうっ！？」と叫びながら吹っ飛ぶ
反対に彼の肩に乗っていたアライグマのカールは優雅に着地する



A「大丈夫？」



頭を押さえながら、起き上がろうとするポオにAは声を掛ける
組合戦の後から、何度か探偵社にお邪魔したことはあったが
彼女と対面するのはこれが初めてだった



乱歩「ポオ君！奇遇だな！こんな処で何を……」



「「「…………」」」



乱歩「あぁ、人と待ち合わせか」



ポオ「(推理された………)」



彼はある品を競売で競り落とし、その受け取りでこの展望台に来たらしい
丁度いい処で逢ったと思った乱歩は「一寸手伝え！」と着ぐるみの頭部をポオに被せる



乱歩「行くよ！A！」



A「うん」



ポオ「待っ、我輩にも待ち合わせ相手が！」



乱歩「明日にすれば？」



ポオ「いや、そんな……痛ぁ！カールが中で噛んだ！」

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