光を求める少女の話 【文スト】【太宰治】【３】

第百一話＿此の力は私のだ ページ18

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此の異能力でも人は助けられる
あの日、私は初めて自分の意思で異能力を使い芥川をジイドから助けた
殺した数の方が多くても、其のたった一回があればいい



A「此の力でも人を助けることは出来る

其れに私は今まで気付けなかった

人を殺す事以外使い方を教えられなかった此の異能から

目を背け、太宰に甘え、向き合うことすらしなかった」



だからもうやめよう
目を背けることも、甘えることも
自分の力は自分で制御する



A「私はもう他人に異能力を預けない

其れが太宰であっても

もう誰にも利用させない、悪用させない

自分のために此の力で人を助ける、仲間を守る」



中也「そうかよ……なら守ってみろ

解ってるよな？俺が異能力を封じられたくらいで

引くような奴じゃねぇってことは」



A「うん、知ってる。だから……」



中也に向けていた銃口を別の人物に向け直す



中也「なっ……！！」



A「頼み方を変える」



その人物は自分自身。頭に銃口を強く押し当てる



中也「其れは脅しか？」



A「そう、脅し。帰らないなら私は今此処で死ぬ」



中也「太宰を残して手前は死ねるのか？」



A「死ねるよ」



中也「！？」



真っ直ぐ、はっきりとAは云った
だがその言葉に驚いたのは中也だけではない
与謝野と賢次、モニターで見ている福沢も驚愕した
二人の関係性を知ってる者だったら誰でも驚く発言なのだ



A「私は、私が死んでも太宰が生きてくれていればそれでいい

"彼を残して死ねない"何て私は絶対に云わないし

此れからだってそう思うことはない

だから、この引き金を躊躇う理由にはならない」



Aは引き金にかけられた指に力を入れる
其れに思わず与謝野や賢次まで制止に入った



賢次「駄目です！Aさん！」



与謝野「やめなッ！Aッ！」



其れでも彼女は銃を下ろさない



A「今、此処で私と戦っても中也だって無傷じゃ済まない

マフィア側だって中也が使えなくなるのは痛いでしょ？

素直に引くか、戦って共倒れするか、私が死んで此の場を収めるか

選んで、中也」



中也の顔が歪む
Aの云っていることに嘘はない、全て事実なのがまた痛い所だ
……三択があるように見えて実際は一つしか選べないようになっている

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