光を求める少女の話 【文スト】【太宰治】【３】

第九十六話＿餌 ページ13

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監視カメラの映像が次々に停止していく
自動迎撃銃座を起動させるが銃事に足止めを食らってくれるほど相手は甘くないことをAはよく知っている



予想通り中也に放たれた銃弾は方向を変え、爆音とともに銃が壊れた



中也『特使の摂待役がこんな木偶(デク)とは

泣かせる人手不足じゃねぇか、探偵社

生きてる奴が出て来いよ』



わざと残していた監視カメラに中也は挑発をする
福沢と乱歩が出した答えは与謝野と賢治で彼を迎え撃つ事だった



乱歩「Aは此処で待機だよ」



A「………判ってる」



与謝野と賢治でも彼を倒すのは困難だろう
其れでも乱歩も福沢も此処でAを行かせるという選択はしなかった



A「二人とも気を付けて

彼は『重力遣い』の中原中也

いくら二人でも油断すれば直ぐに殺られるよ」



賢治「わかりました！」



与謝野「まぁ、そうじゃないかと思ってたよ。ありがとね、A」



ポンと与謝野はAの頭を撫でる
そして二人は出て行った



乱歩「A的にはどう思う？」



A「中也の狙いは此処の破壊じゃない

破壊が目的なら中也がこんな面倒くさくて回りくどい事なんてするわけない

狙いは絶対他にある」



乱歩「流石僕のA」



画面の向こうで与謝野と賢治が中也と対峙する
Aの言った通り彼の狙いは暴れる事ではなくマフィアの首領、森からの伝言を伝える事だった
内容は組合の団員を『餌』で釣り、彼らの場所と時間を提供しに来たのだ



中也『こんな好機滅多に無ぇだろ？憎っくき組合に一泡吹かせてやれよ』



A「………」



この話、絶対に"裏"がある
何故ならあまりにも探偵社の利が大きすぎるからだ
マフィアの利益しか考えていない森さんがここまでして探偵社に好機を与えるなんて考えられない



福沢「この件の裏でマフィアはどう動く？」



中也『"動くまでもねぇよ"』



A「………餌」



組合がマフィアの餌に罠だと判っていても食いついた
その餌が余りにも魅力的だったものだから
ならその魅力的な餌は何だ？
その餌で釣ることでマフィアが最も得をするのは何故？



A「事務員を餌に……？」



福沢「！？」



Aの呟きに福沢は目を見開く



A「組合と探偵社を激突させるために事務員を餌にした」



組合にとって此れほど美味しい餌はないだろう
事務員を拐うことなんて彼らにとっては朝飯前
そして其れを知った探偵社は必然的に動かなくてはならない
マフィアは両方に密告をするだけで中也の云う"動くまでもない"が完成する

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