光を求める少女の話 【文スト】【黒の時代】【太宰治】

第四十九話＿意志表示 ページ11

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翌日、太宰はAを迎えに来た
病室に行くと彼女はもう起きていた


太宰「やぁ、おはよう。ぐっすり眠れたかい？」


A「………」


太宰「解っていると思うけど君の姉は死んだ」


A「………」


太宰「殺したのは私だ。仇を取るかい？
其れともまだ死のうと思ってるのかい？」


A「………」


太宰「………」


何を聞いても答えないAに解っていたがため息が出た
意志疎通が出来ない相手とどう接しろと？


太宰「……此れから君の面倒は私がみることになった

話せとは云わない、けどその代わり頷くなり首を振るなり意思表示をしてくれ

解ったかい？」


A「……………………」ｺｸﾝ


長い間をあけて小さく首を縦に振った
「じゃあ、今から行く場所あるから付いてきて」と太宰は病室から出て行き Aもその後を追って病室から出て行った


Aの身体が健康体になる迄、彼女に任務はこない
教育係である太宰にもAに専念して貰うため森があまり回してこない


太宰は今日一日でAの衣類の調達等の買い出しに行った
本人に聞いても何も答えないため全て太宰好みの衣類になったが


太宰「髪、切るかい？」


「其の長さは邪魔だろう？」とAの髪を掬いながら云う
結っていた髪をほどくとその長さは腰まであり
結っていてもいなくても邪魔になりそうな長さだった


A「……………」


太宰「…………」


A「…………」


太宰「…………ハァ、意思表示してって私云ったよね？」


A「…………」


飽きれを通り越して怒りが沸々(ふつふつ)と込み上げてきそうだ


太宰「Aは長い方が好きなの？其れともどっちでもいいの？」


A「…………」


太宰「…………」


選択肢を与えてやっても駄目か
真逆こんなことでも"命令"しないと決められないのか？


太宰「もういい。今日は此処までにする、帰るよ」


A「…………」


早足で前を歩く太宰
その後ろ姿をAは無言で眺めながら後を付いて行く

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