光を求める少女の話 【文スト】【黒の時代】【太宰治】

第五十二話＿"命令"と"お願い" ページ14

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一分数え終え、Aの身体を丁寧に拭き、寝間着を着させてあげ
Aを普段は滅多に使わない自分の布団で寝かせる


実はあの粥には睡眠薬が入っており、時間になると眠れるように調整がされていた
そのお陰もありAは直ぐに眠りについた


太宰「はぁ〜…………」


太宰は重たいため息を付く
真逆、彼女が此処まで何も"出来ない"とは……
いや、姉に"人形"のように扱われていたなら
あの行動も仕方のない事なのか


太宰「(彼女との接し方を少し考えないとな……)」




＿＿＿
＿＿
＿




太宰「A、今から云うことはとても大切な事だから絶対に忘れてはいけないよ」


朝、二人共起き朝食を食べ終えた後
太宰は自分の目がAと合うようにしゃがみ真剣な顔付きで云う


A「……………………」ｺｸﾝ


太宰「君は姉の"命令"を忠実に従ってきた

此れは別に悪いことではない。ポート・マフィアに入った以上、君は私の部下だ

だから私は上司として君に"命令"することが必ずあるだろう

其の命令には此れまで通り忠実に従って欲しい

けど今私と話しているこの日常会話までも"命令 "だとは思わないで欲しいんだ」


A「…………」


太宰「君にとっては難しいかも知れないが世の中には"命令"以外に"お願い"と云う言葉があるんだ」


A「………………？」


太宰「解りやすく云うと"拒否権"があるかないかだ

命令は確実に遂行しなくてはならない

でもお願いは"自分の意志"で決められる」


A「…………」


太宰「そうだね、試しに………A、私の手を握ってくれないかい？」


太宰はAの前に手を出す
何時もの彼女なら何も反応はしないが
今回は瞳が揺れているのを太宰は見逃さなかった


太宰「此れは別に命令じゃない、些細な"お願い"だ

私が君の手を触りたい、私の手を握って欲しいと持っている願望だ

人は自分の願望を相手に伝える時こうして"お願い"をするんだ

お願いは相手に強制させることは出来ない。相手にも拒否権は必ずある

だからA………」


太宰はまるで壊れ物を扱うように優しくAの手を握り、反対の手で髪を撫でる
其の時の彼の顔はとても優しい顔をしていた



太宰「ゆっくりで善い

君が自分の意思で物事を決められる用に色んな事を見て、聞いて、学んで、感じよう

そしていつかAが自分から私の手を握ってくれる日を待っているからね」


A「……………」ｺｸﾝ

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