逃亡 ページ37
土砂降りとまではいかないが、雨足は若干激しい。
出来るだけコンクリで舗装された道を通ってモトキの家から距離を取るように走る。
家の方には向かわない。
家族に何かあったら嫌だから。
あの日、オレを裏切った人間。
こんなオレでも、昔は仲の良い友達と呼べる存在が居た。
そいつは、他人とは違うオレを綺麗だと言ってくれた。腕っぷしが強くてぶっきらぼうなオレを優しいと言ってくれた。
中学2年にしては出来過ぎた人間だったと思う。
初めての友達だと思って浮かれていた。
だけど。
オレは裏切られた。いや、ある意味裏切ったのかもしれない。
オレは使われていただけに過ぎなかったのだ。
ただの牽制。ただの武器。
「ちょっと優しくしたら友達って言ってくれて…ホント、獣みたい。」
放課後の教室で数人の取り巻きにそう語っていた、友達だった人間。
耳に障る甲高い声に耐えきれず、その場を離れたのを覚えている。
告白される事もあるにはあった。
けど、利用しようという魂胆が丸見えだった。
だから、オレは。
『オレだけを信じろ…！』
初めて善意に満ちた目で見られたせいで鈍っていたんだ。
もう迷うな。あれは全部戯れ言だ。
煌びやかな電飾にも街の喧騒にも目を逸らし、人気のない道をひたすらに駆け抜ける。
障害物を跳んで躱して、小さなフェンスの穴をすり抜けて。
『くそ…』
こんなに体力が無い訳じゃないのに。
恐怖がオレの身体にまとわりついているようで、いつもより早く息が上がってしまう。
気付けばオレは全く知らない繁華街の外れに来ていて、我ながら逃走に必死になりすぎて笑った。
疲れた体を休ませようと公園のブランコに腰掛ける。
涼しい風が火照った身体に心地よい。
童心に帰ってブランコを漕いでいると、携帯のバイブがメールを知らせた。
"どうして逃げる？愛しているだけなのに。受け入れたいだけなのに。受け入れてほしいだけなのに。守りたいだけなのに。俺達はAを愛してる。だから。迎えに行く。捕まえに行く。絶対に、助けるから。"
『……気色悪い。』
そう呟いて、携帯の電源を落とした。
絶対、なんてありはしないのだ。
「私達、ずーっと友達だよ！絶対だよ！」
……そう、ある訳もない。
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かれん - あーあ。シルク達が乗り込んで来たらどうすんのやろ、、、、 (2018年11月5日 0時) (
レス) id: dba75e7956 (このIDを非表示/違反報告)
かれん - ウオタミでもありますし、読みやすいんで！ (2018年11月3日 8時) (レス) id: dba75e7956 (このIDを非表示/違反報告)
伊達。(プロフ) - かれんさん» ご閲覧頂きありがとうございます。私なんてまだまだですが、ファンだと言ってくれるのは嬉しいものです。ありがとうございます！ (2018年10月31日 0時) (レス) id: d04d043254 (このIDを非表示/違反報告)
かれん - いつも見てますよ！！(他の作品も)←コメントしてます！ がんばってください！！←ファン (2018年10月28日 22時) (レス) id: 9f2d1964ce (このIDを非表示/違反報告)
伊達。(プロフ) - かれんさん» ご閲覧頂きありがとうございます。頼れるリーダーが可愛いの、良いなと思って書いてました笑 (2018年10月28日 15時) (レス) id: d04d043254 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：伊達。 | 作成日時：2018年10月1日 0時
