■Lunatic case：Pink ページ11
side．mt
Fischer'sの皆でショッピングモールに遊びに来た時の事。
ちょっとフラフラしていたら、泣いてる女の子が目に入った。
『ねぇ、どうしたの？』
なるべく怖がらせないように、目線を合わせて話し掛ける。
俺が話し掛けると女の子は泣き止んで、事情を話してくれた。
どうやら、帰ろうとしていた所に駄々を捏ねて逃げてきたらしい。
今となっては後悔して、一緒に来ていた姉に合流して謝りたいとの事。
『じゃあ…』
俺が口を開いた途端、館内放送で迷子の案内が流れた。
「おねえちゃん…！」
『お姉ちゃん？もしかして、君のお姉ちゃんって、佐野A？』
「うん。」
道理で目元が似てる…というか、同じ訳だ。
迷子センターに送る事を了承して貰って、一緒に向かうと、そこには焦りの色を滲ませた愛しい彼女、Aが居た。
駆け寄る妹を一喝し、俺に向き直り、深々と礼を述べてくれた。
ヤンキーとは言え、礼儀は重んじるらしい。
そして、翌日。
俺は朝早くに保健室に向かった。
目的なんてたった1つ。彼女に会う。
『失礼しまーす…。』
A「ん…って、お前…！」
俺の顔を見たAはすごく驚いたようだった。
A「昨日の…！」
『あぁ、うん。』
A「昨日は本当に助かった。恩に着る！」
『そ、そんなに頭下げないでよ！』
A「ああ…。だが、唯一の妹だ。お前が居なければ無事でいる可能性は薄かった。」
ああ、家族思いな人なんだ。
灰色の目が真っ直ぐに俺を見てきたものだから、その美しさに見蕩れてしまった。
A「何だ？」
『いや、すごく綺麗な目だな…って。』
A「そんな、大層なモンじゃない。」
すっと目を逸らしてしまったけれど、一瞬宿ったのは深い負の色だった。
迫害を受けていたのだろう。
それでも、俺はこの世の何よりも綺麗に見えた。
『ねぇ、俺さ。モトキって言うんだ。仲良くなろ？』
A「オレと仲良くなった所で何をしたいんだ。」
『その綺麗な目を見ていたい。』
A「…あいつよりかはハッキリしてんな。まあ、良い。オレは佐野A。好きに呼べ。」
ふっと気の抜けた笑みを漏らしたAは、その目に優しい光を宿していた。
嗚呼、綺麗だ。
いっそ抉りとって飾りたい程。
俺以外の誰もその目に映してほしくない。
そんな感情に気付いたのは、思わず伸ばした手を不審げに見られてからであった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 138人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「逆ハー」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
かれん - あーあ。シルク達が乗り込んで来たらどうすんのやろ、、、、 (2018年11月5日 0時) (
レス) id: dba75e7956 (このIDを非表示/違反報告)
かれん - ウオタミでもありますし、読みやすいんで！ (2018年11月3日 8時) (レス) id: dba75e7956 (このIDを非表示/違反報告)
伊達。(プロフ) - かれんさん» ご閲覧頂きありがとうございます。私なんてまだまだですが、ファンだと言ってくれるのは嬉しいものです。ありがとうございます！ (2018年10月31日 0時) (レス) id: d04d043254 (このIDを非表示/違反報告)
かれん - いつも見てますよ！！(他の作品も)←コメントしてます！ がんばってください！！←ファン (2018年10月28日 22時) (レス) id: 9f2d1964ce (このIDを非表示/違反報告)
伊達。(プロフ) - かれんさん» ご閲覧頂きありがとうございます。頼れるリーダーが可愛いの、良いなと思って書いてました笑 (2018年10月28日 15時) (レス) id: d04d043254 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：伊達。 | 作成日時：2018年10月1日 0時
