愛され少女の回想と覚悟 ページ18
ぼんやりとした頭で考え事をしている間に動画はエンディングに入っていた。
動画サイトを閉じて、天井を見上げるも目に入るのは慣れたつまらない白。
ヘッドフォンを外した耳には隣の部屋で撮影をしている彼等の賑やかな声がする。ザカオさんとダーマさんは仕事があるので朝食後に帰ったから、5人分の笑い声。ここまで来れば二重人格かどうかを疑ってしまうレベルだ。
『はぁ〜…』
「溜息は幸せが逃げる」とはよく言う。私も今となっては色んな意味でもう会えない祖母に説かれたものだ。
思い返せば、私の常識と言う物は全て祖父母からの教えだった気がする。父や母に何かを教えてもらった記憶などありはしない。
褒めて貰ったのも、祖父母からだけ。だからと言って私は大層なおじいちゃん、おばあちゃんっこな訳では無い筈だが。
父は仕事と言う名の女遊び、母は夜勤。私は親からの愛情を知らなかった。せめて年の離れた妹だけはそうならないよう、分からない愛情を目一杯注ぎ込んでいた、高３までの人生。
──人間は欲を張る生き物だ。
全くもってその通りだと思う。《愛されたい》と願っていたあの頃よりはるかに恵まれているのに、私はそれを拒んでいる。
文字通り、壊れる程の愛情と言う物を。
『これ以上欲張りになるもんじゃないな…』
誰に言うでも無い独り言を壁に向かって呟く。いや、この独り言は自分自身への戒めだ。
『やっば…』
難しい事を考え過ぎて頭が痛くなってきた。こんなになるなら昼食と夕食のメニューでも考えていよう。
料理は得意だ。育児放棄と言っても過言では無い扱いを受けてきたせいか否か、私は早くから自炊を覚えた。
今朝スーパーで買った見切り品の野菜でポトフでも作ろう。ソーセージの代わりにモトキさんが使ってたブロックベーコンかな。
此処に来るのは悪い事ばかりでは無いと、逃げないようになってから気付いた。
今まで義務感で作っていたご飯を美味しいと言って食べてくれる人がいるのが嬉しいと思った。行き過ぎているとは言え、愛情を注がれるのが心地のいい事だと知った。
壊れる程の愛情には、全身を以て返そう。
正しい愛の形じゃなくても、望んだ愛の形じゃなくても。
マサイ「Aー！」
『はーい！』
スマホをスリープモードにして布団に放り投げる。
物理的に逃げなくても良いや。重たすぎると感じたら精神的に逃げれば良い。
それまでは愛してもらおう。私が感じているこの甘えが貴方達と同じ感情になるまで。
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Kako(プロフ) - 普通に分析してないで、警察に行きましょう(笑) (2018年11月21日 8時) (
レス) id: d79f67c83a (このIDを非表示/違反報告)
たまご - ほんともう…大好きです！！ヤンデレ好きなのにプラスでフィッシャーズとか…！！これからも応援します！！ (2018年10月29日 18時) (レス) id: d1bd9df2a1 (このIDを非表示/違反報告)
かれん - やべぇ、、、、、、、、 (2018年10月27日 19時) (レス) id: 9f2d1964ce (このIDを非表示/違反報告)
もっきゅー - すいません、名前もきゅーじゃなくてもっきゅーです (2018年8月31日 21時) (レス) id: 02c268e020 (このIDを非表示/違反報告)
もきゅー - 面白かったです！最後の場面では鳥肌が凄かったです（笑）私もヤンデレ系統の作品を書いているところなので良かったら見てみてください！続編が出たら見ます！ (2018年8月31日 21時) (レス) id: 02c268e020 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：伊達。 | 作成日時：2018年8月9日 21時
