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ガヤガヤと騒がしい窓の向こう。
そっと見下ろすと、沢山の生徒達が家路に着いていた。
____________僕も帰らなきゃ。
そう思い、そっと席を立った。
△▼△▼△▼△▼
昇降口に向かっている途中。
「あ……」
唇から一つ、零れ落ちる言葉。
「忘れ物、した…」
忘れ物に気付き、急いで教室に戻った。
その時、激しく響く衝突音。
「……っ!?」
肩は震えた。
どうやら、僕のクラスから音は聞こえるようだ。
扉の窓からそっと覗くと、そこにはクラスメイトが数人居た。
一人、殴られていて、周りの人達はそれを嘲笑していた。
面倒臭い。
そう思いつつ、彼らが去るのを待った。
暫くすると、気が済んだのか彼らは去って行った。
教室には、いじめられていた人……長尾景になった。
長尾景はいじめられるような人間だっただろうか?
いや、それよりも今教室に入るのはまずい。まだ待っておこう。
??「っー……いってぇ」
すくっと立ち上がり、破れたノートの残骸を拾っていく。
その姿は光と相俟って、天使の様だった。
________綺麗だ。
同姓の僕でも、目を引かれる美しさ。
彼を知らなければ、女性だと勘違いするだろう。
………黙っていればの話だが。
ふと、中性的な整った顔は此方を向いた。
やばッ………!!
バッと隠れた
長尾「……なんかいたかぁ?……気のせいか」
どんだけ勘が良いんだ!猫かよっ!!
僕は忘れ物を取るのを諦め、夕焼けに染まる通学路を歩いていった。
許すまじ、長尾景。
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作者名:ハルカ【遼花】 | 作成日時:2022年11月19日 17時