72:優先順位の付け方 ページ12
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「……疲れた」
ヘトヘトになりながらそれでも会社から出て上を見上げれば夜空に星が浮かんでいた。
この時間帯なら病院の面会時間には間に合わないな、ジョングクから明日マシンガン文句を聞くしかない。
「今日に限って忙しくなるからテヒョンとも話せなかったしな……」
TH「俺が何?」
「え、」
視線を空から目の前に移すと階段の手すりに腰掛けて私を見ているテヒョンがいた。
その整った顔が繕ったような綺麗な微笑みを浮かべて、感情を押し殺している。
TH「A」
「テヒョン…、昨日は行かなくてごめん、なさい」
TH「うん、ずっと待ってた」
「……そう。ごめんね」
どうしてこんなに罪悪感を煽られるんだろう。確かに約束は破った、守れなかった。けれど。
「でも…テヒョンだって私との約束何回も破ったんだからお互い様でしょ…?」
声が震えたのはどうして。テヒョンに反抗したからか、はたまたテヒョンの反応が怖いのか。
それでも事実だ。ずっと前から思ってた。私ばっかり約束に忠実なのにテヒョンは自由気ままに守るだけ。もはや約束なんて気休めだ。
TH「…俺が約束破った時もAはこんなに苦しかった?」
「……え?」
TH「ずっと待っててくれたの?」
手すりから腰を上げてテヒョンが私に近づく。
もの悲しく響く革靴の音。
TH「……A凄いね、俺、一回だけでも耐えられない。」
「…テヒョン?」
TH「Aが来ないってわかってても待ってたんだよ」
さっきよりは近くにいるテヒョンの顔色は少し白くて目元が赤くなってた。
TH「もうAとの約束、破らない」
「………、」
TH「…ねぇ昨日どうして来れなかったのか教えて」
テヒョンの手が私の頬にそっと添えられる。その甘い眼差しに動きを止められる前にテヒョンの手を振り払う。
もう、遅いんだよ、テヒョン。
そんな傷ついた顔しないで。
「…行けなかったんじゃない、行かなかったの」
TH「…A、」
「テヒョンより別の事を優先したの…!」
テヒョンの手を払った手が熱を持ち出す。それでも瞼を閉じれば、ほら。ジョングクが浮かぶ。
約束よりもジョングクのお願いを優先した。
その理由はわかるでしょ、テヒョンなら。
「……私の1番を優先したの」
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choco - 今まで見た作品の中で1番好きな作品になりました。ありがとうございます! (2022年5月23日 19時) (レス) @page49 id: 7083a913c1 (このIDを非表示/違反報告)
mimi39901065(プロフ) - 初めまして。夢小説にハマるきっかけをくれた作品で、本当に何度読んでも胸が一杯です。素晴らしい作品ありがとうございます。 (2022年2月13日 20時) (レス) id: 96f9571aaf (このIDを非表示/違反報告)
noooooon24(プロフ) - 好きすぎて3回も見ました!本当に感動作です。この2人の続編が見たいです、できたらすっごくイチャイチャラブラブの2人の幸せを見たいです!勝手なお願いですがぜひお願いします。ここまで大好きな作品なかなか出会えないので、、 (2022年2月2日 22時) (レス) id: 8c9cc794ae (このIDを非表示/違反報告)
プルメリア(プロフ) - 初めまして。お話を読んで涙が止まりませんでした。素敵なお話ありがとうございます。 (2021年9月4日 9時) (レス) id: 73d93b58ca (このIDを非表示/違反報告)
??(プロフ) - お話が素晴らしすぎました!ストーリー引き込まれ、大号泣しながら一気読みしてしまいました。とてもいい作品をありがとうございました。 (2021年6月20日 3時) (レス) id: 8c7ead2968 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ただのルート | 作成日時:2019年10月31日 14時