I love you most.

＊ ページ4

｢…いや。貰えて、ない｣




遮られたことにより、一回口を噤んでから答える




｢そっかー、てことは出水好きな人いるんだ｣




へー、と作り笑いで言う瀬乃




…なぁ瀬乃




おまえさっきっから何でそんな悲しそうな顔してんだよ




なんて




ヘタレなおれは、そーいうことを思っても言えない




瀬乃が悩んでても、話を聞いてやれない




どこまで臆病なんだよ、おれ




好きな人の悩みくらい、話くらい聞けるようになれよ




どうした、って




そう一言言えればいいんだから




意を決して口を開こうとした途端




｢あー、えっと、出水｣




瀬乃が先に言った




…また、先取られちったなぁ……




うじうじ悩んでるせいだよな、はぁ…




また今まで幾度となく繰り返してきた自己嫌悪をまた繰り返しながら、半上の空でおう、と返事をする




すると、目の前にばっ、と何かが差し出された




小さな白い紙袋に、ピンクのリボンが括りつけられている




｢えっ…？｣




数回瞬きをし、そっと瀬乃の方を見ると耳まで真っ赤にして少しうつむいていた




それにつられておれまで顔が熱くなってくる




きっと、おれの顔も真っ赤だろう




｢出水、たくさんチョコレート貰って邪魔かもしんないけど…手作り、で…｣




貰ってくれたら、嬉しい




そう、尻すぼみになっていく言葉を聞いておれは更に顔が熱くなった




｢邪魔じゃ、ないし…めっちゃ嬉しい、です｣




震える手で瀬乃が差し出した紙袋を受け取る




思わず最後が敬語になって、緊張しすぎかよおれ、と自分自身に呆れる




瀬乃はおれの言葉を聞いて勢いよく顔をあげ、真っ赤な顔のまま




｢ありがとう…！｣




大好きな笑顔で、笑った


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(手作りってことは、バレンタイン忘れてなかったってことだよな？)




(あー、うん、今年は本命一個にしようと思ってたから米屋には…あっ)




(………まじですか)




(……まじです)




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とかいう初々しい時もあったな、って話

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