出会い. ページ3
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人喰い鬼。
その話は、古くから語り継がれてきたものだった。
そして、その鬼を倒す鬼狩り様の存在も。
だから、真っ赤な海に倒れる家族を見た時も…不思議と、状況を飲み込むことが出来た。
もちろん恐怖は感じたけれど。
「娘……ヒヒッ、稀血の娘だ」
口元を赤く染めた
「お前も、家族の元へ連れて行ってやろう」
『…私を食べるの?』
「ほう、物分かりがいいじゃないか。
痛くはしねぇ、一発で噛み殺してやる」
鬼が舌なめずりするのを見ながら、そっと、胸に当てていた手を降ろした。
誰もいない、一人ぼっちの世界を生きるなら、この鬼に喰われて家族の元へ行った方が楽に違いない…。そう思うと、何故かほっとして。
静かに目を閉じると、一筋の涙が頬を伝った。
痛くはしないと言ってたけど…やっぱり喰われる瞬間は痛いのだろうか。
それとも、そんなの感じる余裕もないくらい一瞬で死んでしまうのだろうか。
…だけど、そんな事を考えている間も、鬼が襲ってくる気配はなくて。
恐る恐る目を開けてみれば……首から上が、宙を飛んでいた。
赤黒く焼け、灰になって消えるそれを見つめながら、気付けばその場にへたり込んでいて。
そんな私の元へやって来たのは、紺色の瞳の男の人だった。
「生きることを諦めるな。
…独りになろうが、お前はこの世界を生きなければならないんだ」
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作者名:Hana :*・ | 作成日時:2020年7月9日 17時