検索窓
今日:17 hit、昨日:17 hit、合計:190,878 hit

溢れる想い. ページ14

.




生きることを諦めるな。独りになろうが、お前はこの世界を生きなければならないんだ─────




あの日、義勇さんに言われた言葉。
それだけを胸に今まで生きてきた。

…全部、受け止めたつもりだったのに。
前を向いて、歩けていると思っていたのに。




あんな些細な出来事で…。
禰豆子ちゃんと、妹の姿が重なっただけで。




『会いたいと、思ってしまいました。
どうして私だけ生きているんだろうって…考えてしまいました』




肩に掛けられた義勇さんの羽織をぎゅっと握り締めながら、膝元に視線を落とす。

家族の分までちゃんと生きると決めたのに。
間違っても "あの時死んでいればよかった" なんて考えないようにしていたのに…。




塞き止める術も、元に戻す術も無い。
一度升から溢れ出てしまった思いは、一体どうすればいいのだろうか。

なんて思ったその時。
優しくも、強引に。肩を抱き寄せられて。




「…此処に来てから、泣いてなかっただろう。家族を奪われた悲しみや憎しみを抱えながら、Aは涙ひとつ見せなかった」




頑張っていたのだな。

ひどく落ち着く声で、そう言われた途端。
胸をぎゅっと締め付けられるような感覚がして。




彼の前で初めて、声を上げて泣いた。




.

秘める想い.→←眠れない夜.



目次へ作品を作る
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (222 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
484人がお気に入り
設定タグ:鬼滅の刃 , 冨岡義勇
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:Hana :*・ | 作成日時:2020年7月9日 17時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。