【HQ】婿に来てええですか -2-【宮治】 (ページ25)

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73.接客態度ページ25

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最初の頃は、

自分の歪なおにぎりを誰かに食べてもらうなんて

恐れ多くて遠慮しとってん。

けど、

今となってはそれが毎日の楽しみになっていた。

治くんは何を食べる時でも毎回、

初めて食べたかのように感動して

この上ないくらい美味しそうに、幸せそうにしてくれる。

誰かのそういう姿が見たくて、

私はバレーを辞めた訳やから。

彼のそういう食べてるとこ見てると

めちゃくちゃ気持ちええし、心地いいし。

…せやから、

『治くんはいっこれ！』

調子に乗っていろいろ張り切り過ぎたんやろな。

日常に溶け込んできた、

体育祭に向けた放課後練習。

いつもお腹を空かせとる彼の為にと、

人気の具が入ったおにぎりを

何個かおとんに取り置きしといて貰ってん。

治「わざわざまた帰ったん？」

『おんっ！定食用のご飯ちょうど炊きあがりやったから
2つ新しく握って来てん！こっちのはまだ温かいで！
美味しいうちにお食べ！！』

家に一度帰って持ってきた事を伝える。

絶対喜んでくれると思って

無表情が多い彼の緩む顔を待ってたんに、、

治「…別に毎回、ここまで尽くしてくれへんくてええねんで」

『え？』

渡したおにぎりを見つめたまま、

そんな事をポロリと言われる。

治「自分大変やろ」

言葉だけを読み取ったら、

そりゃ心配してくれとると思うけど

治「食いたい時自分で買いに行くし、
弁当もホンマは大変やろ？…取り消すわ」

なんか、一気に突き放された感覚に陥って、

あ、これは多分あかんやつなんやろなって

何となくそう思った。

治「お握りも朝だけでええで。
これありがとうな」

目も合わせずそのまま離れていく。

なんか……素っ気ない、？

いや治くんはいつもこんな感じやん

いつもの自分ならなんも考えんと

勢い任せに接せんのに、、

でも、強引な事して

彼に嫌われたないな、って思ったら

急に分からんくなった。

『ごめんッ、私しつこかった？迷惑やったかなッ、？』

治「迷惑ちゃうけど…
接客をそのまま学校にまで持ち込まんでええで」

接客か……まぁ確かに

お客さんやからそうなんやろうけど、

『……接客ちゃうのに、、』

なんか勘違いされとる気がするけど、

だからといってどう伝えるんが正解か分からんくて

モヤったい。