【HQ】婿に来てええですか -2-【宮治】 (ページ23)

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71.進展報告ページ23

治side

その後、彼女を家まで

無事に送り届けたわけやけど、

治「ほなまたな」

『おん送ってくれてありがとう！おやすみねー！』

名残惜しさなんて感じさせないあっさりとした態度。

そのままそそくさ家の中に入ってもうた。

治「俺は何を期待してたんや…ださ」

どっかで少し、

Aちゃんの特別なとこに入り込めた気でおったんや。

やって知り合ってから距離が縮まるんは

めちゃくちゃ一瞬やったし、

おにぎり握ってくれるんやって俺だけやろうし。

そうやって色々理由をつけては

安心したかったんやろうな。

治「俺の片想いってこんな呆気なかったんやな、」

さっきのAちゃんの顔が忘れられへん。

無条件で振りまく愛嬌のある顔ちゃうくて、

特定の人にだけ見せるような、愛しそうな顔。

Aちゃんは仕事人間やから、

恋愛なんて全く興味無いと思い込んどった。

まさか、

その男を思い出してあんな顔してまうなんて。

__________ガチャッ。

学校からAちゃんを家まで送り届けるんは

あんなにあっという間やったのに、

自分の家までの道のりは倍のように距離を感じた。

いつもと変わらん部活疲れは、

急に俺に負荷をかける。

治「……はぁッ、あかんわ俺」

ただいま、と言う気力もなく

そのまま静かに家の中に入る。

侑「おッやっと帰ってきたわ！！
なんか進展あったか？報告しろや！」

待ってましたと言わんばかりの勢い。

ツムはオモチャみたいに面白がってるんやろうな。

治「そんなん最初から脈ナシや」

侑「は？」

俺の返しにツムは一人で混乱しとる。

いちいち疲れるわコイツ。

そのまま無視して2階に上がろうとしたら

侑「ちょいちょい待て待てッ！
何失恋モードなっとんねん訳話せアホ！」

首根っこを掴まれて遮られた。

マジで空気読めんのかコイツは。

こういう時ぐらいそっとして欲しいんやけど。

治「好きな男居るらしいねん」

侑「それ本人がそう言ってたんか？」

一から説明したったら、

なんや後半から笑いを堪えはじめとって

侑「ぶっふぉ！！」

治「人が真面目に報告しとんのに笑うやな」

侑「あかんあかんっ！！どこのショートコントやねん！！」

治「あ？」

人の気も知れんで、

コイツほんまどこまでも人でなしやな。