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来慣れたその場所は、お寺の真横にある大規模のお墓。
制服姿の君にお花を持たせ、一段一段、ゆっくりと階段を上がっていく。
ここは、優太が眠っている場所・・
岸っていう文字が掘られた墓石の前に立ち、わたしは廉くんと共にお線香をつけた。
廉「・・やっとやわ」
『ん?』
手をあわせ終わったあと、君は静かにそう言った。
廉「お墓知らんかってん・・葬式どころか線香つけに来ることすらアカンくて」
君はとっても立派だね、。
10年経っても廉くんの心の中には、ちゃんと優太が存在してた。
それだけで気持ちは軽くなる。
墓石の後に影を感じて、あ・・優太がいる、と瞬時に悟る。
廉「あん時、俺を助けてくれて、本当にありがとうございましたっっ!!」
墓石に向かって深々とお辞儀をする廉くん。
岸「どういたしましてっ!自分の命大事にしろよ?あと、Aもな!」
自分の墓石に顎をちょこんとのせて・・ほんと、優太って死んでも優太のままだ。
それが嬉ければ嬉しいほど、切なくて寂しい。
『ねぇ、廉くん。ちょっと優太と二人っきりにさせてくれる?』
廉「わかりましたっ、下で待ってますね!」
すぐに理解してくれる君。
廉くんは私を置いて、先に駐車場へと戻っていった。
今となっては、もう涙は出ない。
感情が薄れてるとかの問題ではなく・・
それはこれからの為に体が温存してるのだろう。
泣きたい時にとことん泣いて・・
最後がくるその時は、君をどうしようもないくらいに困らせて、死んじゃったことを後悔させてやるんだから。
岸「お前、ほんっと俺のこと好きなっ!!」
そうとも知らず、平常運転の優太。
『当たり前じゃん・・大好きだよ、昔も今も、これからもずっと』
岸「・・そっか」
そっか、じゃないよ。
もっと力強くて頼れるような、そんな安心する言葉が聞きたいのに・・
岸「A、幽霊の俺と初めてあった場所、覚えてる?」
『倉庫?』
岸「そうそう!」
あんなに不思議な出会い方も、今となっては懐かしむひとつの思い出。
岸「後ででいいからさ、そこ行ってくんね?」
『?・・分かった』
何度言ったら懲りるんだろうか・・
もう、カッコいい消え方はごめんだよ
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美久(プロフ) - こんばんは、岸くんの作品探していたところ見つけて読ませていただきました!もう素敵なお話で大号泣です、、他の作品も読ませていただきます! (2022年9月22日 0時) (レス) id: b3cc7c76d7 (このIDを非表示/違反報告)
リーダー(仮) - めちゃくちゃ久しぶりに泣きました。 番外編も、読んでみたいです。 (2021年12月5日 0時) (レス) @page50 id: 6f32c3f285 (このIDを非表示/違反報告)
七奈(プロフ) - はじめまして。コメント失礼します。思わず涙が溢れました、、、苦しくて切なくて、だけどどこかあたたかさにも包まれていて、、、素敵なお話をありがとうございました!これからも作者さんのこと応援させてください。 (2021年9月14日 0時) (レス) id: f58e70d40b (このIDを非表示/違反報告)
ange - 感動で涙が溢れました。素敵なお話をありがとうございました。そしてこちらの作品に出会えたこと嬉しく思います。これからも作者様のお話を楽しみにしております。 (2021年8月23日 0時) (レス) id: 7b959df396 (このIDを非表示/違反報告)
なな - 今まで見てきた占ツクの中で1番感動しました。もしよろしければ、岸くんと結ばれたお話や続編も見たいです。 (2021年5月28日 14時) (レス) id: 11c222fc20 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:muhe | 作成日時:2018年5月21日 23時